完・スキだよリュウイチ-9
『ただいま、隆一』
「ら、ラウム?!どうしたんだよ、何でここに?!」
ラウムが横に倒れた箱からひょっこり顔を出している。
『まあ、その、結論から言うと、ここにまた置いてほしいんだ』
「えぇっ?!」
『おれだけじゃなくて、リリスからもお願いしてるよ。その訳は・・・』
ラウムが箱から出てきて、さらに嘴で中から手を引っ張り出してきた。
どこかで見た様な光景だな。懐かしい、と思うほど時間は経過していない。
『・・・あは、あははは、隆一。久しぶりだね』
「リリス!!」
出てきたのは、リリス。
そこまでは分かっていたが、子供の姿になっている事は予測出来なかった。
「お前どうしたんだよその姿」
『そ、それはぁ・・・あの、戻っちゃったんだよね。くしゃみしたら』
「はあ?!」
『ちゃんと成人になれたはずなんだけど、その後いくら頑張っても、あの姿になれなくて・・・』
『で、まだまだ修行不足だからやり直しに来たんだ』
恥ずかしそうに人差し指を合わせていじくるリリスを見ながら、頬をつねってみた。
・・・痛い。これは夢か、現実か、果たしてどっちだ。
『じゃあ、隆一、早速なんだけどぉ・・・』
俺はリリスを抱き締めて、耳元で囁いた。
「・・・お帰り、リリス」
『うん。ちゃんと大人になれるまで、もう一度よろしくね』
終わりと始まりは表裏一体
終わりが突然ならば、始まりだって同じだ。
俺と1人と一匹の共同生活は、こうして再び始まりを告げる−
〜〜おしまい〜〜