完・スキだよリュウイチ-8
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目を覚ますと、もう夕方になっていた。
狭いはずの部屋なのに、何故だかやけに広く感じてしまう。
いつも置いてあった場所に、あのピンク色の箱は無くなっていた。
「・・・なあ、リリス。ラウム・・・」
そんなに急いで帰らなくたっていいじゃないか。
また、1人になっちまったよ。どうしたらいいんだ?
シーツに残ってる長い髪じゃ、代わりにならないよ。
最後の最後まで、勝手なんだからな・・・・・
でも、楽しかった。
なんだかんだで名残惜しく別れられるなら、幸せだろう。
終わりは突然やってくる。
必然ではなく、突然。
頭をすっきりさせよう。コーヒーでも飲もうか。
「・・・・・・」
棚の中に大分余っている砂糖を見付けた。
俺は普段から入れないから、なかなか減らないだろうな。
リリスがいた時はとにかく減りが早かったけど、俺だけじゃ使い切れそうに無い。
・・・牛乳は好きなんだけど。
「・・・あっ」
どうも変だなと思ったら、リリスの分も淹れていた。
たっぷりのミルクで白に近いベージュ色で、同じく大量の砂糖で甘ったるいコーヒー。
そのうち虫歯になるぞと言ったら、リリスは悪魔の口に変な菌はいないなんて言い返してきた。
「・・・早く帰って来いよ。でないと、冷めちゃうぞ」
もうちょっと見たかったな、リリスの大人になった姿。
でもそれ以上に、リリスの子供の時の姿を見ていたかった。
捨てるのも勿体ないので、自分で片付けるか・・・
「痛ぇっ?!」
いきなり頭頂部に激痛が走ったと思ったら、床に何かが落ちてきた。
これは・・・
こ、このピンクの箱は・・・?