愛しのお菊ちゃん14-1
愛のゴーストバスター誕生!
疲れた。
妙に疲れたけど…。
これで僕はお菊ちゃんと一緒に過ごす事が出来るんだ。
疲れながらもドコか晴れやかな気分で自分の家に向かうマンションの廊下を歩く僕。
「あっ!俊樹!」
その廊下でお母さんに会った。
「どこ行くの?」
お母さんに会った瞬間…なんかいつもの日常に戻ってきた感じ。
「お婆ちゃんがまた、ギックリ腰になっちゃったのよ」
ちょっと呆れ顔のお母さん。
自分のお母さん(僕のお婆ちゃん)の事なのにあんまり心配してないの?
いや…何かある度に飛んでくんだもの。
心配してないって事は事はないか。
僕はそんなお母さんが何となく微笑ましくして、ついついニタニタ。
「なにニヤけてんの!まぁいいわ、テーブルの上に今日のご飯と当座のお金が置いてあるから…じゃあね」
言うだけ言うと、バタバタと行ってしまうお母さん。
息子の僕が言うのも何だが…何とも騒がしい人だ。
僕は予期せぬお母さんとのニアミスに、暗く引き摺っていた感じもいつの間にか薄らいでいた。
そんな僕が玄関とドアを開けると…。
「わぉ!お菊ちゃん!」
今度は玄関先でお菊ちゃんとバッテング。
「俊樹さまの母上…なにやらバタバタと出て行かれてしまいましたよ」
お母さんが慌てて出掛ける様子…おっとり気味のお菊ちゃんには余計にバタバタに映ったのかな。
ちょっとクスクス笑ってる。
「うん!おばーちゃんがギックリ腰になったって」
僕もニコニコ。
「まぁ!それは笑い事ではございませんでした!お婆さま…大丈夫でしょうか?」
クスクスモードから一転、生真面目なまでに見たこともないおばーちゃんの心配をするお菊ちゃん。
すこぶるいい子だ。
「うん…あのおばーちゃん、よくギックリ腰になるんだ」
実は年数回の割でギックリ腰になるおばーちゃん。
僕もお母さんも結構慣れてたりして。
それよりお菊ちゃんも玄関まで出てきてどうしたんだろう?
もしかして僕の気配を察知して迎えに出てきたのかなぁ?
「それよりお菊ちゃんはどうしたの?」
僕はそんな淡い期待を胸にマナジリを下げちゃう。
やっぱお菊ちゃんと一緒にいるとこれからの不安なんてぶっ飛んじゃうよ。
「また…お墓に戻らねばならぬのでございますが…」
まだおばーちゃんを心配してるのかなぁ。
煮えきらない顔のお菊ちゃん。
それとも僕と離れたくないのかなぁ…なんて能天気な事を考えながら。