愛しのお菊ちゃん13-5
「いいんですよ…これらは悪しき霊を成仏させる際の代償ですから」
小さく笑う鵬蓮さん。
その小ブリだけど形がよく色白の綺麗な乳房は…片方だけ。
もう片方は形は綺麗な方と同型だけど全体的に赤黒く爛れている。
乳房だけではない。
その白いおなかにも肩口に同様の傷跡が大なり小なり無残な姿を晒していた。
そして、そのおなかの白いところにお経の様な一文が刺青のように掘り込まれている。
「………」
そんな鵬蓮さんの姿を見ていたら…。
僕は言葉もなくただ…ただ…涙が溢れてきた。
ミニスカートを脱ぎ去る鵬蓮さん。
下着を着けていない下半身は…。
やはり上半身と同じで美しさの中に禍々しい傷跡が点在している。
そして…ストッキングも脱ぎ去った鵬蓮さが…。
「今は泣くのもいいでしょう…これから先は泣く事も出来ない道に踏み入るのですから」
優しい響きの言葉。
「いえ…これから…事じゃなくて…鵬蓮さん…辛かったんだろうな…って」
そう…僕の涙はこれから事への不安や後悔ではなく。
壮絶な人生を生きてきたであろう鵬蓮さんへ。
哀れむ…と言ったら失礼になるかも知れないけど。
鵬蓮さんがどんな思いで生きてきたのか…そう考えると涙が止まらなかったのだ。
フワッと動いた鵬蓮さんがギュッと僕を抱きしめてきた。
「お優しいですね…貴方なら…資質が充分にあるのですね、お菊さんが好きになる訳です」
僕の耳元で囁く鵬蓮さん。
この上なく優しい響き。
“お菊ちゃん、全ては僕とお菊ちゃんの為だから…ごめん”
僕はお菊ちゃんに心の中で詫びると…。
鵬蓮さんと抱き合ったまま、ゆっくりと布団に沈んでゆく。
「んっ…んふっ…」
その最中で鵬蓮さんの薄い唇が僕の唇に重なってきた。
瞳を閉じその唇を貪り、舌をその間に潜り込ませる僕。
チュ…チュプ――。
舌を絡ませ返してくる鵬蓮さん。
何とも言えない甘い香りが僕の口内に広がり頭がぼんやりしてくる。
そこからはただ…ただ…夢中で唇や舌を吸い上げながら、鵬蓮さんを布団に押し倒す。
そして自然と僕の手はケロイド状の傷に覆われた方の乳房に伸びてる。
その傷を癒す様に…いとおしむ様に愛撫を重ねる僕。
「うっ!うはぁっ!」
僕の唇から自分の唇を外し、大きく喘ぎながら僕の下で仰け反る鵬蓮さん。
「ご…ごめん…痛かった?」
鵬蓮さんの喘ぎの原因が痛みと捉えた僕。
鵬蓮さんの乳房から手を離そうとするけど…。
「や…止めないで…わたくしは…そちらの乳房が…ああっ!」
喘ぎながらも言葉を紡ぐ鵬蓮さん。
そっか…気持ちいいのか。
今さらながらの事に気がついた僕。
焼け爛れた傷跡の中でも原型を留めている乳首をそっと口に含む。
痛々しいはずの傷だけど…鵬蓮さんの生き様を物語っている傷だ。
その傷に覆われた乳房を愛撫する事に何の抵抗感もなかった。