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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その二 奴隷王子-5

「何を言ってるんだ。マリアが運ぶのを邪魔したのはその監視の男だろう。俺は見ていたぞ。階段の上からマリアの胸を盗み見て、すれ違いざまに知りを触ったのをな!」
 そこへやってきたのはヘンリーだった。彼は高らかに宣言し、尻を触った監視の男を指さす。
「な、何を言っていやがる。俺は……俺は……」
 しどろもどろになる監視に、別の監視が前に出る。
「同士よ、もしこの奉仕者が言っているのが本当だとすると、貴様は罪を犯したことになるな……」
「なっ、何を……」
「奉仕者、ヘンリーよ、貴様、先ほどの言葉に嘘はないのだな?」
「ええ、俺はこの目で見ていました。水をもらおうと水飲み場に向かいましたところ、マリア……、あの奉仕者の姿が見えず、仕方なく戻ろうとしたところで階下に二人の姿を見たのです。俺は暫く待てば水を飲めると思いこの場で見ておりましたが、その際、この男が奉仕者に劣情を抱き……」
「だ、黙れ黙れ! 同士よ、貴様らこんな奉仕者の言うことを信じるのか? 俺はそんなこと……」
「ふむ。だが、同士がここにいる理由がわからないな。確か同士は神殿上部の監視の担当ではなかったか? ここにいるということは持ち場を離れているということで、それは神殿建設に滞りを起こしかねない重大な罪……」
 雲行きが怪しくなることに、尻を触った監視は油汗をかき始める。
 というのも、もし罪が認められたら財産の没収と奉仕者へ身分を落すことになる。そして、その財産は他の監視の分け前として再分配されることになっている。
 神殿建設の監視など閑職もよいところ。給金も少なく、憂さ晴らしをする場所も無い。せめてもの救いは無駄遣いが減って貯蓄が増えることぐらい。
 お金を貯めるということに生きがいを見出す者も居り、監視同士での足の引っ張りあいも起こる。
 そして、この監視はヘンリーに相場の師事を受けていた者だ。
「これは詳しく話しを聞く必要がありますな……」
「ま、待って、待ってくれ……俺は、誤解だ、そんなこと……」
 喚く監視と粛々と連れて行く監視達。にやりと笑う監視と、ほっとするヘンリー。
「だが、待ってくれ。この女は我らが教団の財産である水がめを割ってしまったのだ。尻を触られたとはいえ、その罪は免れまい」
 すると別の監視がぼそりと呟く。小太りの男はマリアに下卑た一瞥を向けたあと、キョロキョロと周囲を見る。
「いや、尻を触られた程度で水がめを割るなどと、この世に水がめが存在できないだろう」
「うむ、これは十分な罪だろう。別途罰を与えるべきだろう」
 マリアを糾弾する声に再び慌てるヘンリー。こればかりは通じている監視も庇いきれないらしく、無表情でいた。
「ま、待ってください。一つ忘れておりました」
「なんだ、まだあるのか?」
「は、はい。本来水がめを運ぶのはこの俺の仕事なのです」
「でまかせを言うな。いつもこの女が運んでいただろう」
 マリアに懲罰を与えられると考えていた監視は、それを庇おうとするヘンリーに苛立ちがてら、声を荒げる。
「いえいえ、俺の仕事でした。考えても見てください。女の足で水飲み場から神殿の頂上に重い瓶を運ぶなどと非効率きわまりないでしょう。それに、もし俺がしっかり自分の仕事をしていれば、尻を触られることもなく、水を奉仕者に運ぶことができました。今、奉仕者達が渇きを訴え、効率が下がっているのは、全て俺が仕事を彼女に押し付けてさぼっていたことが原因です」
 監視の前にひれ伏すヘンリー。監視達は意地悪い笑いを浮かべる。
「あいわかった。貴様の罪、しっかりと償ってもらうぞ……」
 監視はヘンリーを引き立てると、兵舎へと連れて行く。
「ま、待って……、ヘンリーさん、私……」
 当事者に口を挟むことをさせない急な展開に、マリアは困惑する。罰から逃れられた安堵と、身代わりとなったヘンリー。何故という疑問が浮かぶ頃には、ヘンリーの姿は階下の下、ずっと向こうに消えていった後だった……。


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