受け入れるということ-1
翌朝―。
いつものようにカーテンの隙間からの明かりで目を覚ました愛梨は、部屋の中の異常な青臭さに眉をひそめた。
…何…?
この変な臭い………
不信に思いながら部屋を見渡すと、パソコン周辺に散らかるティッシュの山。
気が付くと自分自身も布団の上に全裸で横たわり、下半身からモンモンと漂うその臭いにゾッとする。
『……何…これ…なんで…?』
誰かに何かされたのかと記憶を無理矢理呼び起こすと、パソコンでフタナリについて調べていたことを思い出す。
『……私…………』
そして、フタナリには様々なタイプがあるという記事を思い出し、その中にあった一文が頭をよぎる。
《ある程度の快楽を得ることにより、その快楽より更に上を欲して行動をエスカレートさせてしまう場合がある為…(略)…性的な刺激が初めてに近い場合、記憶に残っていないことも多い》
『…私が……?…い…や……』
嫌あぁあ、と頭を抱えて絶叫する愛梨。
体について頭では理解したつもりでいたが、部屋の壮絶な臭いと汚れに嫌悪感が込み上げる。
それでも視界に入る立ち上がったそこは、愛梨の意志とは関係なく元気に天を向いて触れてもらうのを待ち望んでいた。
流れ落ちる涙と混乱する頭に、しばらくの間動けない愛梨だったが、ふと、こんなもの体から切り離したいという気持ちが沸き起こり、シャワーを浴びて部屋に戻ると散らかるティッシュもそのままに、パソコンを立ち上げる。
…こんなもの、切っちゃえばいい
私の体からなくなればいいのに…っ
昨日とは少し違う思いを抱きながら、フタナリ専用整形外科のサイトをサーフしていると、自分と同じ悩みを抱えるフタナリ女性の相談書き込みのある掲示板にたどり着く。