受け入れるということ-2
《おちんちんが、凄く嫌なんです》
そう始まる書き込みの返信を読むにつれ、固まっていた決意が揺らぎ始めるのを感じる愛梨。
《手術しました。後悔しています》
《痛くて痛くて…腫れが引かないです》
《あんなに嫌いだったおちんちんなのに、なくなった途端そこが疼いて…》
《失敗して、入院しています》
《やめた方がいいです。やっぱり最初からあるものをなくすのは体が反発して…》
手術した面々が、後悔の気持ちを綴っている。
この掲示板は、どこかの宣伝のものでもないし、フタナリ優良で検索して一番初めに出てくる程の巨大掲示板…。
その掲示板で、こんな風に反対や後悔の意見が多いということは、それは本当で真実ということ。
これだけの人数がそう語るということは…。
体にも影響が出る、痛みが続く、などいいことは何もなさそうだった。
精神的に病んだ書き込みまで載っている。
愛梨の気持ちは、この忌々しい突起物を取り除き、普通の女の子になって恋愛もしてみたい…気の合う女友達とショッピングをしたり…と、ごく普通のことを望んでいたが、これだけの数の書き込みを目の当たりにして途方に暮れてしまった。
こんなことになったら……
今思い描いていることなど出来なくなってしまう。
それだけじゃなく、病院に閉じ込められてしまうかもしれない。
それを思うと、怖くてその続きが読めず掲示板を閉じてしまった。
だめ…
そんなの…私には…………
勇気もない……
机に突っ伏した愛梨は、どうすればいいのかわからなくなっていた。
昨日の自分と今の自分は何かが違い、けれどもどの自分も間違いなく他人ではなく自分自身なのだ。
どうすればいいの……
やっと、光が見えた気がしたのに…
こんなに怖いことだなんて…
無理だよ…
でも……………
こんな邪魔なものがあるなんて嫌……
金銭的な心配をしない辺り相当な振り込みがあるのだろうが、それよりも何よりも愛梨の締め付けられるような思いは益々どん底へ落ちていくばかりだった。
…私なんて………
生まれたのが間違いだったのよ…
元々思い詰める性格の愛梨が、ついにそこまで辿り着いた時、ふっと頭の中にある言葉が浮かび上がる。