異界幻想ゼヴ・エザカール-15
大男は少女の体を抱き締めると、その唇にキスした。
少女の無邪気さが引っ込み、妖しい表情に取って代わる。
少女は大男の顎から首へキスをしながら、唇を南下させていった。
上半身から下半身へ行き着くと、指先がまだうなだれたままの肉棒に絡み付く。
幼い手がそれを前後に扱きながら、先端に唇をつけた。
たくましく隆起していくそれをうれしげに見つめながら、少女は愛撫を続ける。
片手は自らの股間に伸び、自分の秘部をほぐし始めた。
十分ほぐれた頃、少女は大男の上にまたがる。
そのまま、少女は大男の勃起を受け入れていった。
快楽の色に頬を染めながら腰を激しく上下させ、大男と共に悦楽を貪る。
華奢で未成熟に見える陰部からは大量の愛液が溢れ出し、周囲へ飛び散っていた。
「あ……」
呆然としていた深花がようやく声を発すると、映像が掻き消える。
「い、今のは……」
「現在の二人。最中だとは気づかなくて、少々刺激的になってしまったけれど」
バランフォルシュの声が、申し訳なさそうに響く。
「あの子は、何も知らない。知らせていない」
声に、苦悩が忍び込む。
「あなたには……知らせる覚悟が、私にない」
すぅ、と体が遠ざかるような感覚がした。
「イリャスクルネと共に、謝罪します……ごめんなさい。神機体は、呼び出せるようにしておきます。お願いだから、もう少し時間をください」
この空間を出ていく事になるのだと、深花は気づいた。
「待って!バランフォルシュさ……!」
「さようなら……お願い、死なないで。私はまだ、イリャスクルネの恩に報いていない」
「……ふむう」
ティトーと深花のレポートを読み終えたザッフェレルは、大きくため息をついた。
「神殿には地方領主より目付け役を派遣したから、このような真似をする事はもうなかろう。しかし……気になるな」
「バランフォルシュは何かを隠している。一体、精霊をあそこまで苦悩させる事情とは何なのか……」
腕組みをして、ティトーは唸った。
「面白いけどめんどくさいなぁ……」
「面倒であれば、アレティアを辞めればよかろう」
ザッフェレルのからかいに、ティトーは笑い声を漏らす。
「面白い、って言っただろ。こんな状況に関われる事が楽しくて仕方ないのに、どうしてアレティアを辞めなきゃならないんだよ」
「なればよし。では吾輩は報告を上層部に上げねばならぬ故、任務に戻っていいぞ」
「ああ。それじゃあな」
ティトーはザッフェレルの前を辞すると、談話室へ向かった。
談話室はちらほらと人が見受けられるが、人気があるとは言い難い。
その一画を、三人が占拠していた。
「おう。戻ったか」
入り口に姿を現したティトーを見て、ジュリアスが片手を上げる。
「レポートは無事に受理された。後は本日分の教練を消化するぞ」
三人の側まで行くと、ティトーはそう告げる。
告げた後で、ティトーの顔に懸念が浮かんだ。
「深花……フラウと同乗で、本当に大丈夫か?」
今日の訓練で、深花はマイレンクォードに乗る。
しかしフラウは……という訳で、ティトーはまだ早い時期だと思っていた。
「はい。フラウさんとも、約束しましたし」
「覚悟を決めてるならいいけどな……ショックを受けても責任は取れんぞ」