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魔神探偵
【推理 推理小説】

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魔神探偵〜鼠編〜-4

「バレバレだよ…」
誓司兄のしようすることなんてバレバレ。早くに目覚ましをセットしたのだって、きっと朝早くに村長に話を聞きに行くつもりだったに違いない。年寄りは起きるのが早いだのなんだのと思ったのだろう。幸いにも、寝ている間に別の人格になってないだけましかもね…。
「さて…三時ぴったりか…」
早めに支度をすませると、あの写真の場所を探るため、階段を下る。
「あら…美姫ちゃん?」
「多恵さん…」
いい機会だ。写真の場所の心当たりを聞いてみるのもありだろう。と言っても、おそらくは多恵さんが撮ったもののはずだから、知らないはずもないけどね。
「あの…タンスの上の写真が撮られた場所…いや、写真を撮った場所を教えていただけませんか?」
「写真?」
「お子さんと旦那さんが二人で写ったやつです」
「あれなら…あなた達がきた道がありますね?あの道沿いにわき道があるのですが、そのわき道を道なりに行けば着きますよ?」
「そうですか。ありがとうございます」
早足で多恵さんの横をすり抜ける。
(わき道なんてあったっけ)
でも行かなきゃならない。そこに『一つ目の答え』があるはずだ。
「あ」
聞き忘れた事があったのを思い出した。
「息子さんはどこに障害を?」
悲しそうな目で床を見つめる多恵さんは、重い口を開くと共に、顔を私に向ける。
「脳に……世間一般で言えば知恵遅れとゆうヤツです」
ビンゴ。あとは…。
「息子さんにとって、写真の場所には『思い出』はありますか?」
やはり彼女は強い女性だと感じた。少し涙を下瞼に溜めながらも、声を震わせることなく、笑顔で「たくさんありますよ」と言った。それだけ聞いて、力強く踏み出す。
「私は…気の利いたことを言えません。でも…」
背を向け、顔を横にして多恵さんをみた。
「あなたの後ろには、勝利の女神が微笑んでいますよ」
一言言ってから走り出す。誓司兄が起きる前に、私はやらなきゃいけない事があるから…。
 家を出ると、昨日来た道を下って行く。少しすると、多恵さんが言ってたわき道を見つける。最近はあまり人が通らないようで、荒れ放題だ。しかし、行かないわけにもいかない。渋々足を踏み込む。その時に気付いたのだが、人が入らなかったのはここ数日間の間だけのような気がした。なぜならば、わき道に入ってすぐ、地面の草が靴に踏まれた様に伏していたからだ。私は、流行る気持ちを押さえきれず、一気に走り出した。

 この風景は見たことがある。そう、あの写真の風景そっくりなんだ。
「ここが…」
ならばあるはずだ。『アレ』が…。
 草をかき分け、手辺り次第探した結果。やはり『アレ』が見つかった。丁寧に持ってきたリュックに詰めると、振り向いて歩きだそうとした。その時、後頭部に激痛が走り、私は、深い暗闇へと誘われた……。


 美姫が寝ていたベッドは、俺が起きた時には空だった。まだ霧音だったかもしれないが、とりあえず四時に起きたときにはもういなかった。多恵さんに聞いてみようとしたのに、多恵さんまでもがいなかった。
「ありえねぇ…」
部屋に戻り、一人で物思いにふけっていると、外から話し声が聞こえてきた。窓からチラっと見てやると、二人の男が神妙な表情で話をしていた。気付かれないように窓を開け、盗み聞きを始める。
「あの女の方の悪気がか…」
「ああ。ちなみに多恵はどうなった?」
「捕まえて地下室に閉じこめた。女の悪気も入れとけよ」
「捕まえたのは俺じゃない」
(女の方の悪気…美姫しかいないじゃないか!しかも多恵さんも捕まったって?冗談じゃない!)
思考よりも先に体は動いていた。窓を全開にすると、そこから飛び降り、まず男の一人を撃退。もう一人の男に攻撃するには少し遠く、走って逃げようとしていた。しょうがなかったので、懐からアイツを引っ張り出した。
「くらえぇ!!」
唸る『アイツ』は男の首筋を掠めると、速度を上げて下降し、男の腹部を直撃した。ちなみにアイツとは、俺専属の武器みたいなものなので、トレカ二つ分の広さと、CDケースを二つ重ねたぐらいの厚さの黒い箱だ。だが開かない。そのかわり、ボタンが7つ付いており、そのボタンに見合ったモノが飛び出すとゆう仕組みだ。今のは2番。簡単な話がヨーヨーをつかったのだ。
 力の抜けた男二人を運ぶのは苦労したが、パンツ一丁にし、そのへんにあったロープで縛り上げた。


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