愛しのお菊ちゃん11-3
「た…ただいま」
慌てて家に帰ってきた僕。
今日はお母さんはパートの日…よって留守。
ドタドタと自分の部屋に入ると…。
僕の部屋のテレビを見ていたお菊ちゃん。
ぱっと立ち上がると。
「おかりなさいませ」
ニッコリと笑い深々と頭を下げてきた。
ったく…あの人は…。
僕は鵬蓮さんに出会った不安を掻き消すように。
真面目な顔でお菊ちゃんを見つめると…。
お菊ちゃんの事をギュッと抱き締める。
「い…いかがなされたので…ございますか?」
突然、抱き締められたお菊ちゃんはかなりビックリしてるみたい。
「い…いや…何でもないよ、ただいま」
僕は気持ちを落ち着けて…優しくお菊ちゃんの話しかける。
そうだよ…鵬蓮さんって人の口からお菊ちゃんの名前は出てる訳じゃないし。
お菊ちゃんは幽霊さんだって言ってもこんなにいい子なんだ。
おかしな事なんかあるもんか!
今度、鵬蓮さんに会ったらキッパリとそう言ってやる。
心の中でグッと拳を握る僕。
そして…。
「お菊ちゃん…陽はまだ高いけど、接吻していい?」
微笑みを湛えた瞳でお菊ちゃんのつぶらな瞳を見つめる僕。
ポッと両頬を赤らめるお菊ちゃん。
コクッと小さく頷いている。
僕はお菊ちゃんの両肩を優しく掴むと。
ゆっくりとお菊ちゃんの唇に自分の唇を重ねる。
その僕の唇…貪る様に動かし始める。
お菊ちゃんも僕の胸に両手を添えて。
両目を閉じて僕の唇に応えている。
唇を合わせながら…もう一度、お菊ちゃんの身体をキツく抱きしめる僕。
そして胸の奥で…。
“何があっても…この手は放すもんか”
強く強く…そう誓った。
「お菊ちゃん…」
「俊樹さま…」
「いい?」
エロ先行じゃない僕の真剣な瞳にコクリと頷くお菊ちゃん。
僕とお菊ちゃんは抱き合ったまま…ベットに腰を下ろすと。
(今回の濡れ場はサラッと綺麗にいくね)
お菊ちゃんの襟元を押し開き…白い素肌に唇をそっと這わす僕。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
お菊ちゃんの吐息が徐々に荒らくなってきた。
「あっ……」
僕もお菊ちゃんの香りを胸一杯に吸い込みながら…。
そのスベスベの陶器の様な感触を唇に感じる。
そして…。
顔を上げると繊細な生糸を紡ぐようにお菊ちゃんの帯を解いてゆく。
「あっあぁ…俊樹さま…」帯を解くだけでも感じるのか…。
白い指先を口許に押しあてたお菊ちゃん。
薄く目を瞑り小さく喘いでいる。