真実の扉〜プロローグ〜-1
武田探偵事務所に警察の人間がいる。
「龍仁、例の如くアドバイスを聞きに来た。」
足を組み、偉そうにしている男が言った。この男は、一応警視庁の警部である。
名は高橋 俊作（たかはし しゅんさく）という。
「今度の事件はなんだい？俊作」
ワクワクしながら、警視庁の警部を見る青年は、
この武田探偵事務所の探偵の武田 龍仁（たけだ りゅうじん）だ。
「また、殺人だ。」
「ほう、殺人！詳しく、教えてくれ！」
俊作は溜め息をつきながら、説明する。
「昨日午後、東京都のあるアパートで諏訪 嘉一（すわ かいち）が刺されているのが発見された。第一発見者は、友人である雨宮 優（あまみや まさる）。
死亡推定時刻は十二時〜十三時。その間、アリバイがないのは雨宮 優だけだ。動機があるのも、雨宮 優だけ。
ダイイングメッセージは、これだ。」
懐から写真を取り出し、龍仁に渡す。
写真には、色々マンガが散らばっているが、血の付いているのは次の三つである。
最初は、ＭＡＲ（一巻）、Ｄ．Ｇｒａｙ‐ｍａｎ（二巻）、ＢＬＡＣＫ ＣＡＴ（三巻）があった。
それまでの難しい顔がとつぜん明るくなった。
「なるほどね。犯人をわかったよ。」
「本当か！？」
「犯人は雨宮 優だ。ダイイングメッセージを考えてくれ。
ヒントは、血の付いたマンガ、タイトルが英語であること、そして、巻数だ。
がんばって、考えてくれ。」
【頭の良い読者への挑戦状】
ダイイングメッセージを考えて欲しい。
ヒントは、全て龍仁が言っている。
わかった読者は続きを読んでも構わない。
だが、判らない人の為に、最大のヒントだ。
犯人の名前をローマ字にしてみよう。見えてくるはずだ。
では、解決編にいってみよう。
「ん〜、どう言う事だ？」
俊作は難しい顔して、しばらく考えている。
「わからないようだから、解説しよう。
まず、マンガのタイトルが全部英語だから、名前を英語に直せという意味なんだ。」
近くにあった紙に犯人の名前を書く。
雨宮 優＝ＡＭＡＭＩＹＡ ＭＳＡＲＵ
「こういうことだろう？次に、マンガのタイトル・巻数に注目するんだよ。
つまり、一巻なら最初の文字に注目するんだ。全部同じようにしてみよう。」
再び、紙に書き出した。
ＭＡＲ（一巻）＝Ｍ
Ｄ．Ｇｒａｙ‐ｍａｎ（二巻）＝．
ＢＬＡＣＫ ＣＡＴ（三巻）＝Ａ
「つまり、Ｍ．Ａとなる。Ｍ．Ａとは、犯人のイニシャルだから、雨宮 優だよ。」
満足気に話す。
「この事を奴に突き詰めてみるよ。いつもすまないな。」
そう言うと、颯爽と去って行った。
「ふう、面白い事件が起きないかなあ。」