投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-
【性転換/フタナリ 官能小説】

七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-の最初へ 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫- 15 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫- 17 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-の最後へ

-続・咲けよ草花、春爛漫--5

「函部ちゃん。君はこの先輩が女と男、どっちに見えるかな?」
「女の子です!」
即答する函部。そりゃ、そうなんだろうけれど。
「君は女の子が好き?」
「はい!」
何というか、そういう性癖を隠すことをしないのかこの娘は。
俺は引き攣った顔で言った。
「あ、あのさ、函部」
ごくりと、息を飲んで。
「俺、男なんだ」
言った瞬間、今度は函部が固まった。俺はがりがりと頭を掻いて彼女から視線を逸らす。
まあ、ここで本当のことを言っておかないとだしな。
函部は呆然とした顔で俺を見つめ――
「先輩……」
そして、言った。
「熱でもあるんですか?」
俺の額に手のひらを当てて、真剣に訊いてくる函部。
自分の顔が更に引き攣ったのが分かった。
「熱なんてないよ。あのな、実は俺は」
「すみません、遅れました」

俺の言葉を遮ったのは、部室の扉が開いた音と男の声。
男子生徒――おそらくこいつがもうひとりの新入部員だろう――を見て、俺は思わず声を上げそうになった。
「一年D組の蕪木涼太郎です」
それは例のジョギング帰りに見た生徒だった。短髪でガタイのいいスポーツマン。
御形先輩とは別ベクトルで文藝研究会には似合わないその風貌に、鈴代も意外そうな顔でこの一年を眺めていた。
俺が驚いたのは、彼がジョギング帰りに見かけたからというだけではない。
「かぶら……蕪木!?」
俺は思わずまじまじとそいつを見やり、感心したように息をついた。
「いや、びっくりした。なっつかしいなぁ、おい」
「は」
訝しがる一年の肩を叩き、俺は笑いながら言う。
「俺だよ、芹沢美春。お前が中一の時、転校で部活辞めた芹!」
「せ、芹……先輩!?」
通りで見たことのある筈だ。
この蕪木涼太郎は、中学の野球部の後輩。ほぼベンチ要員だった俺に対し、中学一年の頃からレギュラー入りしていたエースだ。俺が中学二年の時に、親の勤めの関係で転校になった際、同期の奴等と共に別れを惜しんでくれたのを覚えている。
当時俺より少し高いくらいだった背はかなり伸び、男らしくなったその姿に些か嫉妬する。顔もまあ、随分と男前になりやがって。
「お前デカくなったなー。そういえば野球は? お前なら野球強いところ推薦もらえたろ?」
蕪木を見上げ、懐かしさのあまり質問攻めにしてしまった俺を見つめ、蕪木は困惑したように眉根を寄せた。
「せ、芹先輩……どうして、女の」
そこではっとする。
ついぺらぺら喋っていたが、蕪木は俺の状況など知らないのだった。そりゃ、いくら顔がそんなに変わらないとしても、女の格好をしていれば訝るのは当たり前だ。
そんな俺達の間に割って入ったのは、御形先輩だった。
「はーいはい、君達だけで盛り上がっていたら、函部ちゃんが可哀想だよー」
そうだった。俺は慌てて函部に目を向ける。そして思わず身体を強張らせた。彼女の剣呑な瞳が俺を射抜いていた。
「す、すんません」
御形先輩と函部に頭を下げ、俺は後ろに下がる。
彼女は相変わらず俺を睨みつけていたが、にっこりと笑みを浮かべて言った。
「よかったら、事情を話してもらえますかぁ?」



七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-の最初へ 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫- 15 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫- 17 七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前