愛しのお菊ちゃん9-6
「い!いえ!そのような…おそれ多い事は…」
恐縮しまくるお菊ちゃん。
「いいから!いいから!買ってあげたいんだ!僕」
ここでは有無を言わせない僕。
だって、この為に貯金下ろしてきたんだもん。
「な…なれど」
「いいから!いいから!」
数分の押し問答の末…やっと僕はお菊ちゃんに簪を買ってあげる事が出来た。
「か…かたじけなく…存じます」
瞳をウルウルさせて簪を握りしめるお菊ちゃん。
そんなお菊ちゃんを見てると嬉し過ぎて、僕の瞳もウルウルし始めてる。
初めてプレゼントを買った相手がお菊ちゃんで本当によかった。
帰りしな…。
トロフィーを抱えながら困った様子のお菊ちゃん。
「あっ!持ってあげよか!」
慌て手を差し出す僕。
「いえ…これを持つは菊の役目にございます!」
きっぱりと言い放つお菊ちゃん。
けっこう頑固なんだよな…。
「ただ…これでは姿を隠す訳にはいきませぬ」
眉はハの字にするお菊ちゃん。
そっか…そうだよねぇ。
ん?けど…。
「お菊ちゃん?重くはない?」
「菊は幽霊でございますよ…なんの苦もございませぬ」
チロッと舌を出して笑うお菊ちゃん。
「だったらねぇ…姿を隠さなくても平気だよ」
トロフィーを持つ事によって何かのイベントに参加したって感じがもろに出て。
お菊ちゃんの格好…そのイベントの為の衣装とかと思えて。
時代にそぐわい不自然さが全く無くなっていた。
さぁ…帰ろね。
お菊ちゃん。
家に帰ったら…なにしよっか?
僕とお菊ちゃんはニコニコとしながら帰路についた。
つづく