アキラメル?-1
私の名前は、太田 美樹。30才。普通のOLです。独身で彼氏ナシ。もちろん今までに、何人かとお付き合いはしたけれど、結婚まではいけませんでした。理由は分かってるんです。だって、本当に好きな人とは付き合っていないから…。いえ、正確に言えば、付き合えない。だって大好きな彼は既に結婚しているし、子供だっているんです…。だから、他の男と付き合って、彼をあきらめようと努力しました…。でもダメでした。逆に、他の男を知れば知るほど、彼への想いは大きくなって…。
そんな大好きな先輩と私は今、ベッドの上で抱き合っています。優しい先輩は、私のワガママを受け入れてくれました。たぶんこれが最初で最後になっちゃうけれど。一度だけでもいいんです。だって、絶対に叶わない恋なのに、今だけは…。先輩は私のもの。
これで先輩を諦められるはず…だから…。
会社のみんなで飲みに行った帰りでした。私と佐々木先輩は同じ駅を利用しています。電車を降りて2人きりになった私は、このチャンスを逃すものかと、先輩をカラオケへと誘ったんです。すると、先輩は快くOK。
既にだいぶ酔っていた私は、歌なんかそっちのけで、恋人気分を味わっていました。
そして気付いた時には何故かボロボロ涙を流しながら、先輩に告白していました…。
「好きですっ。私、先輩の事が…好きなんです!…ぅぅ…ごめんなさい…。」
優しい先輩は、随分驚いていたけれど、私の涙を拭いて、そっと抱き締めてくれました…。
もう私、止まんなくなって、勝手に先輩の唇を…。先輩が戸惑っている隙に、舌まで入れてしまいました。普段はおとなしい私の豹変ぶりに、先輩はされるがままです。でも、やっぱり優しい先輩は、だんだんと舌を絡めてくれるようになりました。
先輩とこんな熱いキスができるなんて…。それだけで私の体は熱くなって…。もうこのままでは帰れません…。
トロトロになった私の脳は、理性を完全に追いやり、自分の欲求を満たそうとします。その気持ちが素直に言葉となって現れてしまいます。
「…んっ…。先輩…。あの…私を…抱いて…くれませんか…?今だけ、今夜だけでいいから…。」
ああ、これじゃ、ただの酔っ払い淫乱女…。先輩…私の事嫌いになったかしら…?
「…じゃあ、今夜だけ…。みんなには内緒だよ…?」
信じられない!私は驚きと嬉しさと恥ずかしさが入り混じり、またしても号泣してしまいました。
先輩はそんな私の頭を優しく撫でてくれました。
こうして私たちはホテルの一室にたどり着いたのです。2人ともシャワーを浴びて、バスローブ姿でベッドに腰掛けています。あとはもう…。
―ドクン、ドクン―
自分から誘ったくせに、緊張で何もできず、ただ俯いている私を気遣って、先輩が優しく声をかけてくれました。
「ホントに、いいの?」
「あ、ごめんなさい…。いいんです。だって、ずっと…こうなりたかったんだもん…。」
先輩は、顔を上げた私の肩に手をかけて、そのままキスをしてくれました。