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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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奴隷編 奉仕者-5

「これは詳しく話しを聞く必要がありますな……」
「ま、待って、待ってくれ……俺は、誤解だ、そんなこと……」
 喚く監視と粛々と連れて行く監視達。にやりと笑う監視と、ほっとするヘンリー。
「だが、待ってくれ。この女は我らが教団の財産である水がめを割ってしまったのだ。尻を触られたとはいえ、その罪は免れまい」
 すると別の監視がぼそりと呟く。小太りの男はマリアに下卑た一瞥を向けたあと、キョロキョロと周囲を見る。
「いや、尻を触られた程度で水がめを割るなどと、この世に水がめが存在できないだろう」
「うむ、これは十分な罪だろう。別途罰を与えるべきだろう」
 マリアを糾弾する声に再び慌てるヘンリー。こればかりは通じている監視も庇いきれないらしく、無表情でいた。
「ま、待ってください。一つ忘れておりました」
「なんだ、まだあるのか?」
「は、はい。本来水がめを運ぶのはこの俺の仕事なのです」
「でまかせを言うな。いつもこの女が運んでいただろう」
 マリアに懲罰を与えられると考えていた監視は、それを庇おうとするヘンリーに苛立ちがてら、声を荒げる。
「いえいえ、俺の仕事でした。考えても見てください。女の足で水飲み場から神殿の頂上に重い瓶を運ぶなどと非効率きわまりないでしょう。それに、もし俺がしっかり自分の仕事をしていれば、尻を触られることもなく、水を奉仕者に運ぶことができました。今、奉仕者達が渇きを訴え、効率が下がっているのは、全て俺が仕事を彼女に押し付けてさぼっていたことが原因です」
 監視の前にひれ伏すヘンリー。彼がサボっていたことは監視達にも思い当たる節があり、また、生意気な彼に罰を与える口実ができたのは都合が良い。
 マリアに関してはまた別の機会にでも難癖をつければよいと、監視達は意地悪い笑いを浮かべる。
「あいわかった。貴様の罪、しっかりと償ってもらうぞ……」
 監視はヘンリーを引き立てると、兵舎へと連れて行く。
「ま、待って……、ヘンリーさん、私……」
 当事者に口を挟むことをさせない急な展開に、マリアは困惑する。罰から逃れられた安堵と、身代わりとなったヘンリー。何故という疑問が浮かぶ頃には、ヘンリーの姿は階下の下、ずっと向こうに消えていった後だった……。

**――**

 石切場から石を運んでいたリョカは、ヘンリーの姿が見えないことに、またいつものさぼりだろうと思っていた。しかし、水飲み場の消沈した様子のマリアを見て、不思議に思い、さらに夕飯の頃、姿を見せなかった彼に戸惑った。
「ヘンリーさんが……」
 夜、眠る前にマリアが涙ながらにそう訴えてきた。
「ヘンリーに何かあったの?」
「私の代わりに瓶を割った罰を受けるって……、私、怖くて、何もわからなくて……、何も、何もできずに……」
「ヘンリーが罰を? まさか……!」
 ここに来てから何度となく見てきたが、奉仕者に対する罰は拷問と呼べるもの。
 監視の気分次第で鞭を振るう回数が変わるが、四十を越えるまでは終らない。幸いなのは二十を越える頃にほとんどの奉仕者が気を失うことぐらい。その後は満足な治療を受けられず、傷口が化膿し病に倒れてしまう。
 リョカはそういう奉仕者を魔法で治癒しようとしたが、「このまま死なせてくれ、むしろ殺してくれ」と頼まれることが多かった。比較的軽症だった者も、日々監視の影に怯え、次第に精神を病み、高台から身を投げてしまった。
 友人を失うかもしれない状況に、リョカは焦りを覚えた。
 暗闇の閨、疲弊と垢、病の匂いの漂う中、リョカは部屋を出ようとする。
 部屋は脱走を禁じるために施錠がされているが、リョカは小さく「アガム」と唱え、扉を開ける。そして素早く鍵を掛けると、周囲を伺いながら兵舎へと走った。


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