投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

愛しのお菊ちゃんの最初へ 愛しのお菊ちゃん 31 愛しのお菊ちゃん 33 愛しのお菊ちゃんの最後へ

愛しのお菊ちゃん7-2

「おい!ゴラァ!!」
何やら背後から物騒な声。

ドキッとしながら恐る恐る振り返る僕。
わっ!わっ!わぁぁぁ!!
いつぞやチーマーさまの方々!!
突然…降り掛かってきた人生最大のピンチ。
お菊ちゃんには待ってるって言った以上は…。
此処から逃げる訳にもいかないし。
かといって戦う腕力も根性もない僕。
「あわ…あわ…あわ…」
へっぴり腰になってガタガタ震えるしか出来ない。

「昨日は随分と舐めくさってくれたな!おら!」
わっ!スキンヘッドさんがズイって近づいてきた。

「ボクちゃん…いくら持ってんだ?百万くらい持ってたら…無事に帰してやるぜ!」
うっ!意地悪そうにニヤニヤ笑ってる金髪さん。
百万円なんて持ってる訳ないじゃん!

半べそになって震えている僕にズイズイ近づいてくるチーマーさまの方々。
あぁぁぁ!本気でヤバいよぉ!
ってかヤバいなんてもんじゃない。
こうなったら…奥の手。
必殺!!土下座だぁ!
「ご…ご…ごめんなさぁぁぁぁい!!」
僕は土下座をすると平身低頭…地面に額をつけて全力で謝った。

けど…。
「ざけんな!!こらっ!」
チーマーさんの1人に引きづり立たせられる僕。

もうダメだぁ。
殴られる。
涙が浮かぶ目をギュッと瞑って覚悟を決めるけど…。
やっぱり殴られたくないよぉぉ!

その時だった。
“俊樹さま!そのままマナコをお瞑りのままでいて下さい!”
お菊ちゃんのキリッとした声が僕の脳裏に響いてきた。
え!?
“とにかく!菊がよいと言うまでマナコをお瞑り下さい!”
切羽詰まった感じのお菊ちゃんの声に…。
う…うん…わかった!!
僕は閉じていた瞼にグッと力を込める。

なんだぁ!!…うっ、うわっー!!――。
でっ!でたぁ!――。
ひっ!ひぃぃぃ!――。
次々に聞こえてくるチーマーさん達の怯えきった悲鳴。
ドンって突き飛ばされる僕。
「いたっ!」
尻餅をつく僕。
しこたま…おケツを打ちながらも、お菊ちゃんを信じて両目は固く瞑ったまま。
ドタドタ響くチーマーさん達の足音。
お菊ちゃんの……お陰?
そう思いながらも、まだ目を瞑ったまま地面に座り呆ける僕。

「俊樹さま…マナコを開けて頂いて、よろしいでございます」
あっ!音声バージョンのお菊ちゃんの声。

僕はゆっくりと目を開いた。
そこには普段と変わらないお菊ちゃんのちょっと垂れ目の可愛い顔。

「ご安心下さい…不届き者共はもぅ去りました」
優しげな大きな瞳で僕の目を覗き込む、お菊ちゃん。

ん?軽くアヒル口の可愛い口許にちょっと血のアト。
間違いない!お菊ちゃん、怖いバージョンでチーマーさん達を追い払ってくれたんだ。
「お菊ちゃん…ありがとう」
僕は指先でそっとお菊ちゃんの口許の血のアトを拭うと…。
「ありがとう!」
感無量でお菊ちゃんを抱きしめた。
やった!触れるバージョン。

「俊樹さま…」
お菊ちゃんもしっかり僕のすがりついてくる。
微かに震えてる。
お菊ちゃんもちょっと怖かったんだ。
怖いけど…僕を守る為に勇気を振り絞ってくれたんだ。

「お菊ちゃん…本当にありがとう」
さっきまでの怖さの為の僕の涙。
今では感動と喜びの涙に変わってる。

「わたくしと俊樹さまの仲ゆえ…」
ちょっとイタズラっぽい響きを含む、お菊ちゃんの声。
そして幸せそうに僕の胸に頬を押し当てきた。



愛しのお菊ちゃんの最初へ 愛しのお菊ちゃん 31 愛しのお菊ちゃん 33 愛しのお菊ちゃんの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前