後輩は性奴隷……11【最終話】-2
「でもさ、俺、コンビニのバイトしてるから……って、知ってるか」
「そこを何とかっ。バイトは週末だけだし……ね?」
と手を合わせる朱音。
だいたい朱音は、俺と同じ職場で働けるのだろうか。
……俺には無理だ。
どうしても彼女を特別な目で見て、意識してしまう。
いや、それでいいのか。
結衣に傾ききった気持ちを、本来の方向へベクトル修正するべきなんだ。
「あの……さ、10時くらいから空いてる?」
「……なんで?」
「ほら、詳しく聞くには昼休みじゃ短いし、バイトも入ってるし……」
少し怪訝な顔色を浮かべていた朱音だったが、
「いいよ」
と承諾してくれた。
「私も、話したいことがあるから……」
先程の明るさが全くなくっている。
そんな朱音の声色に、俺は緊張せざるを得なかった。
「じゃあ、10時にコンビニに行ったらいいかな?」
「そ、そうだな。頼む」
満面の笑みで腰を上げた朱音。
その笑顔が、逆に俺を不安にさせる。
「じゃあ」
ロングの髪を靡かせて、朱音は俺に背を向けた。
ほぼ同時に、部室のドアが開かれる。
「お疲れ様でーす」
ぞろぞろと部室の入ってくる部員。
売店で何か買って来たのだろう。
ビニールの袋を手から提げている。
「お疲れ様ですっ」
そんな波に乗って入ってきた結衣もまた、ビニール袋を提げていた。
「先輩せんぱいっ。私、コーヒーに挑戦っ……」
俺を発見した結衣は、前とは別のメーカーのカフェオレを取り出した。
たぶん、結衣はあれなら飲めると思う。
問題は、何故か結衣が缶コーヒーを取り出したまま固まっていることだ。
発した言葉も、中途半端に区切られた印象を受ける。
「……結衣?」
そう言ったのは俺ではない。
朱音だ。
そして俺は、想像もしなかったことを結衣の口から聞くことになる。
「お、ねえ……ちゃん……」
という言葉を。
結衣は酷く動揺していた。
周りの部員も、ただならぬ彼女の様子に注目せざるを得ない状態だ。