悶々ラバーズ-8
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ちなみにその後。
「ところで吾妻。もうキスはしたのか?」
――ブフッ!
教室に戻って来るなり狭がそんな事をほざきやがったので、思わず飲んでいた茶を吹き出しそうになった。
「――な、てめ、」
「いやまぁ一緒にいるから告白が成功したのは何となく分かってたけどよー」
「え!?あの、その……小羽ちゃん、吾妻君と付き合ってるの?」
狭の後ろからひょっこり出てきた満月さん(狭の彼女だ)は、真っ赤になりながら水澄にそんな事を聞いて、
「あ、あぅ。あぅあぅあぅ……」
突然の状況に水澄はテンパっていた。いやまぁそうなるだろうなぁとは思ってたけど。
「何もしてねぇよ」
「そうかー?なんか来たときにイイ雰囲気っぽかったから、てっきりもう済ませたのかと……、あ」
そこで狭は申し訳なさそうな顔になって、
「……すまん、邪魔したか」
「帰れテメェ!」
朝の学校に俺の怒号が響いたのだった。
……なんとも前途多難なスタートである。