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絶交チョコミント
【青春 恋愛小説】

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悶々ラバーズ-5

(やっぱ、誰もいないな)

通り過ぎた教室はどこも空だった。当たり前だが。
外から見て何となく察しはついていたが、学校ってところが普段どれだけ活気に溢れている場所なのか改めて認識する。
そりゃ、夜にもなりゃお化けの一つや二つ出てもおかしくなさそうだ。

(とはいえ、ホントに何の目的もなくこんな時間に来ちまったからなぁ……。HR始まるまで何して過ごせばいいのやら)

結局、水澄を迎えに行く事はしなかった。
いやまぁ、家の場所を知らない上に待ち合わせ場所を決めたわけでもないから、当然といえば当然なんだが。

それより、そのうち来るであろう水澄と今日からどう接するかが問題だ。
変にイチャつくのは違う気もするが、だからといって何も変化無しってのも傷付きそうだし……なにより俺もちょっとそれは寂しい。
如何せんこういう交際は初めての事なので、どうにも勝手が分からない。

(……まぁ、なるようになるだろ)

ならないかもしれないが。

とりあえず眠いわけでもないし、時間の潰し方を考えよう。せっかく誰もいないんだし、普段できないような事でもやってみるか……?

例えば、そう――


(黒板を全面使ってチョークで落書き、とか――)


そんなくだらない事を考えながら教室のドアを開けて、


「ぅひゃわおぅっ!?」
「うおっ!?」


まさにそのくだらない事、黒板に落書きをしている真っ最中の――水澄と目があったのだった。
……って待てオイ。

水澄は口をパクパクさせて、

「お………」
「………お?」
「おは、よう?」
「……おはようさん」

とりあえず挨拶から入った。無難だが混乱してるのがありありと分かる。いやだって俺も混乱してるし。

「……何やってんだ水澄。こんな時間に」
「え――っと……落書き?」
「見りゃ分かるわ」

俺もやろうとしてたしな。

「いや、そうじゃなくてだな。なんでこんな時間にこんなとこにいるんだよ」
「え!?えと……」

水澄は明らかにうろたえ、しばらく悩んでいたが、

「……あの、笑わない?」
「場合による」
「じゃあ言わない!」
「分かったよ、笑わないって!」

うー…、ともじもじしながら、

「……なんか、やけに早く目が覚めちゃって。それであ、吾妻に、お弁当とか作ろっかなー、どうしようかなー、とか考えてたら頭がわーっ!てなって……学校来ちゃった」
「……弁当?」
「ん、あの、だって、ほら……」

水澄は俺を指差してから自分を指差して言った。

「私、吾妻の彼女、だし」


なにコイツめっちゃカワイイ。



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