悶々ラバーズ-2
「彼氏ができました」
「嘘」
「嘘じゃないよ!?」
橙藍ちゃんからしてみれば、私に彼氏ができるのは宝くじが当たる確率より低いと思われていたのだろうか……?
私がいつまで経っても発言を撤回しないのを疑問に思ったようで、怪訝な顔で尋ねてきた。
「……え?ホントに?」
「うん」
「相手は?」
「クラスの男子。橙藍ちゃんは知らない子だと思うよ」
「へぇ……」
感心したようにため息を一つついて、橙藍ちゃんは滅多に見せない微笑みを作った。
「よかったね。おめでと」
「橙藍ちゃん……」
「あとそれともう一つ」
「ん?なに?」
「爆発しろ」
「なんで!?」
唐突な爆発命令が出た。
最近妹の真意が分からなくて、姉としてすごく不安。
「……はぁ。お姉ちゃんもリア充か」
「え?」
「なんでもなーいー。おやすみ」
「あ、おやすみ……」
なんかよく分からない呟きが聞こえたけど、よく分からなかったので考えるのは諦めた。
私も特に今日はやる事もないし、そろそろ寝よう。
いろいろあったとはいえ、明日も普通に世界は回る。つまるところ、学校で授業があるのは変わらないわけで。
(あ、そういえば明日また吾妻に会う、のか)
そう思ってまた顔がニヤけそうになって……私はある事に気づいてそのまま固まった。
そう、明日また吾妻と会うという事は。
(……こんな調子でいつも通りに過ごせるの私!?ムリムリ、絶対灯になんか言われるぅぅぅぅっ!!)
先ほどとは打って変わって、絶望的な気分でゴロゴロとベッドをのたうつ私に、
「……お姉ちゃん、うるさい」
橙藍ちゃんが冷たい視線を投げ掛けていたりした。