後輩は性奴隷……9-5
「……は?」
なんじゃこりゃ。
結衣は何がしたいんだ。
取り敢えず、缶を持ち上げて腰を据える。
「そう言えば、恋してんの?」
「はいっ」
ムスッとした雰囲気を晴らして、明るい表情で答える結衣。
「誰だよ?」
「先輩です」
「ふ〜ん」
と返しながらコーヒーを啜る。
「何回生?」
「……3回生です」
何故か声のトーンが落ちている結衣。
「って言うか、普通今の流れで気付きません?」
なんで今日の結衣はこんなに不機嫌なんだろう。
流れと言っても、いまいちピンと……。
「って……まさか」
思わず声を洩らしたとき、結衣は深く頷いた。
「宣戦布告します」
「え?」
「私は、あなたが好きです」
真っ直ぐ俺を見つめる視線に胸が縮み上がる。
「告白、じゃなくて?」
「違います」
彼女は少し睨むように俺を見て念を押した。
「でも……俺はそれに答えられない」
「今は要りません。わかってますから……」
何故か満面の笑みを浮かべる結衣。
「まだ出撃し始めたところですし」
「出撃?」
「はいっ」
微笑みで真意を揉み消す結衣は、
「と言うわけで、それ、飲んでいいですか?」
と問い掛けてくる。
「え? あ、あぁ……」
呆気にとられる俺を余所に、缶コーヒーを受け取った結衣は、それに口を付け喉を鳴らした。