後輩は性奴隷……7-2
静かな自室で、一人ボーッとしていた。
帰ってきた時には夕刻になっており、今となっては夜の漆黒がこの部屋にも及んでいる。
時折り吸う煙草の火元だけが、蛍のように断続的な光を発していた。
何もする気が起きない。
何かをする価値もない人間なのかもしれない。
真里も結衣も関係を断って、一人静かに老いていくべきだ。
性欲が増したらその都度風俗に通えばいい。
三者三用に、然るべき相手がいるはずだ。
俺に付き合っていることほど時間の無駄遣いはないだろう。
遠くの方で車が空を切っていく。
それが落ち着くと、目覚まし時計の秒針が耳に障り始めた。
「くそ!」
それを乱暴に掴み上げ、でも、叩きつけたい衝動をなんとか必死に堪えた。
全部自分で撒いた種だ。
あの時避妊していれば……。
あの時断っておけば……。
あの時理性を保てれてば……。
今更言っても仕方がない。
仕方ないけど……。
携帯が鮮やかに輝いて、少しの間部屋の中が彩られる。
少し冷静になろうと、携帯を手に取った。
「……朱音?」
そのメールを確認し終えたとき、気付けば鍵もかけずに部屋を出ていた。
何を伝えたいかは知らないが、行かないわけにはいかない。
バイト先のコンビニが見え、メールの文面にあったとおり朱音はそこにいた。
「……ごめん」
「いいって」
切れ切れの息が中々おさまらない。
でも、ここに長居するのは俺が気まずい。
幸い今はレジから死角の位置に居るが、いつ誰に見られるかもわからないのだから。
「……あのね」
朱音は俺の挙動から察して、息が整うのを待たずに用件を伝える。
「え? はぁ……まぁ、いいけど、はぁ……」
その用件を承諾し、俺たちは歩き出した。
「え?」
俺の家についてから暫くして、朱音は予期せぬ話を切り出した。
話というよりは、言葉と言った方が正しいかもしれない。
「何も訊かないで。お願い……」
そう言われても、訊かないわけにはいかない。
いきなり
「抱いて」
と言われても、此方の心持ちがそこに向かないのだから。