後輩は性奴隷……6-7
「っしゃー! 撮るぞ〜っ!」
昼下がりの陽光が降り注ぐ川原で、俺は袖を肘まで捲り上げた。
ポカポカと言うには暑すぎる陽気のため、ほとんどの者が川に足を浸してはしゃぎまわっている。
遅れて合流した俺はそのメンバーに加われるはずもなく、撮る側に回ることを強いられ、無理矢理気合いを入れた次第だ。
カメラを構えてはシャッターを切り、また構えてはシャッターチャンスを探し回る。
おっ……今のはなかなか良いショットが撮れたのでは?
水を宙へ投げ、降り注いでくるその瞬間をおさめたものだ。
直ぐに確認できるのがデジカメの長所。 しかし、アングルが後ろからだったので誰かがわからない。
「…………」
もう一度撮ろうとカメラを構えた時、俺は言葉を失っていた。
日の光を弾く水面。
キラキラと輝くように見えるその位置に立っていたのは、結衣だった。
髪を左右で結んだ短いツインテールを後ろに流し、水を掬うために腰を屈めたまま此方に気付いて視線を送っていた。
髪型がいつもと違っていたため、すぐに結衣だとは解らなかったらしい。
レンズを挟んで視線が合う。
いや、合ったように感じた。
その瞬間、胸が縮み上がっていた。
結局シャッターを切れずに、いい画(え)になったであろうその時、俺は固まったまま何もできなかった。
思わずカメラを下ろす。
今の感覚に、とてつもない違和感を抱いていた。
川から届く喧騒が、水の流れる音が、自分の鼓動さえもがフェードアウトしていく。
下げた視線の先に映る地面を、ぼやけていくさっきの映像を探すかのように見つめていた。
「大丈夫?」
肩に置かれた手に、現実の感触が返ってくる。
「……あ、あぁ」
「日にあたったんじゃない? 少し休んだら?」
「そー……だな」
覚束無い足取りで木陰に移り、座り込む。
水のせせらぎを聞きながら、どこか腑に落ちない自分を感じていた。
その日の夜。
事を終え、俺と結衣はベッドに沈み込んでいた。
性交の最中はそうでもなかったのに、こうして何もせずにいると、プレイを始める前と同様に昼間の事が胸を掠めていく。
あれは何だったのだろう。
思考はぐるぐる回るだけで、何も導き出してくれない。
結衣の方へ視線を向けると、バチッと目があった。
「な、なに?」
何故か動揺している俺。
結衣は探るような、見透かすような瞳で俺を見詰め続けている。
だが、しばらくするとその視界から俺が外れた。