6・姉と弟と揺らす腰-3
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(Miyabi's Side)
『ねえ雅、来週行ってもいい?』
「なんでだよ!駄目に決まってるだろ」
『いいじゃない、ご飯作ってあげる。どうせコンビニのお弁当ばっかでしょ、あんた』
「そういう押し付けがましいのはいいんだって、来んなよ。入れねえからな」
『どんなのがいい?雅の好きなシチューにしよっか』
「切るぞ。もう一回言う、来るな。来ても無駄だぞ」
逃げる様に電話を切り、机に置いた。
勝手に電話してきたと思ったら・・・ったく、もう幾つだよ。
もうすぐ二十代半ばなんだし、いつまでも世話なんか焼かなくていいんだから、さっさと彼氏の一人でも作れよな。
・・・・昔からそうだ、姉ちゃんは。
俺に愛情を注いでくれるのはいいんだけど、別に母親じゃないんだし飯の用意なんてしなくてもいい。
ただ・・・俺は・・・
「うわっ?!」
顔を上げると、まりながすぐ近くに立っていた。
見てると段々苛立ってくるくらいのわざとらしい笑顔だった。もしかして今の電話を聞いてたのか・・・・?
「何しに来た!」
「・・・・・・・」
「おい、今の電話聞いてただろ。まりな」
「・・・・・・・」
「誤魔化してるつもりか?何か言えよ!」
「・・・・・・・今夜、エッチしない?」
「だから姉ちゃんの話は!・・・・・・え?」
言ってる意味がよく分からず聞き返してしまった。
いつも嫌がってるこいつが自分から誘うなんて、どういう気持ちの変化なんだ。
「聞こえなかった?じゃあもう一回言うね。私と、今晩、エッチしない?」
わざとらしい笑顔を崩して、自然に笑いながら言ってきた。
緊張してたからあんな無理した笑い方だったのか?
「いきなり聞かれてもな」
「たまには私から誘ったっていいでしょ、雅。ねえしようよ、今日は思いっきりしたい気分なの」
「お前、マネージャーだろ。自分から誘うなんて、おかしい。どういうつもりだ」
「そっちはほぼ毎晩連れ込んでるくせに。嫌なんて言わせないわよ、必ず行くから」
「お、おい、ちょっと!」
俺の姉ちゃんじゃあるまいし、勝手に決めるな。
断ろうとしたけどまりなは出ていってしまった。ちっ・・・全く自分勝手な奴だ。
「雅、また音程外れてるぞ。どうした?いつものやる気はどこに行ってるんだ」
「ご、ごめんなさい」
結局今日は音程だけじゃなくろくに声も出せず、先生に沢山怒られちまった。
まりなのせいだ、あいつが変な事言うから散々だぜ。