欲しかったもの-1
私は恵(めぐみ)。21歳。これは私が中学生の頃から逆のぼる話。私には片思いしてる彼がいた。初恋ではないのに初恋のような片思い。
それを今も引きずっているからタチが悪い・・・。
中学1年生・・・彼の名前は泰隆(やすたか)天然パーマで細身で女の子のような雰囲気を持つ男の子。
身長は155cmで私よりほんの少し高いくらい。特に目立つ訳じゃないけど、兄弟が多いせいか、面倒見もよくてすごく優しい。 そんな泰隆が気になりだしたのは1年生の時から。私も泰隆もバスケ部に入部練習はいつも体育館の隣のコート! 友達と馬鹿やったり、一生懸命練習してる姿が自然と目にとまるようになって・・・。いつの間にか泰隆を探すようになってた。まわりにはバレてたみたい。『誰探してるの〜』とか『声かけなきゃダメじゃん!!私が声かけてこようか!?』とか、冷やかされたりした。中学生、そんな話に飛び付くお年頃。そのせいもあって、もともとコミュニケーションが得意じゃなかった私は余計にギクシャク・・。それでも私は勇気を出して話し掛けるようになったの。たわいない話、挨拶とか・・・ちょっかい出して口喧嘩しちゃって、男の子の「好きな子程いじめたい」の、逆バージョン!
しかも『可愛くない』とか『おとこおんな』って言われる始末。苦しかったな。女の子らしい事出来ないし、髪も短い・・・だけど、好きな人が出来ると少し変わるみたい。
そんな私が泰隆に『一緒に帰らない?』って聞いたら『・・いいよ』って!いつも大勢の友達と自転車置場で集まってた泰隆に話し掛けるだけでも大変だった!! みんなに冷やかされ、覗き見?さるながら二人で帰る。
『・・・・』しばし無言。
緊張で微妙な雰囲気・・・
私が笑いだしちゃって、それから軽い笑い話・・・楽しかったな。
2年生の時、バレンタインデーにチョコを渡したの。それと一緒に気持ちも告白!!『好きです。付き合ってください!返事は今すぐじゃなくていいから』ってすぐに答えは聞けなかったから、その場はなんとか切り抜けた・・・。
すぐには返事はこなかった。私からは聞けなくて、ホワイトデーに泰隆からキャンディーとチョコクッキーをもらったの。でも返事はなし。
どうすればいいのか分からなかったけど、それからはいつも一緒に帰るようになった。そのまま・・・・3年生の夏。
夏の花火大会にどうしても泰隆と一緒に行きたかったから、私から誘って二人で行く約束をした。
嬉しかった!いつもより女の子らしい服装をして、泰隆が迎えに来るのを待った。私の家のほうが会場より遠いのにね!(にやける)泰隆が迎えに来て、緊張しながらもはしゃぎながら二人で会場まで行った。
ショックだった。着いた先には4人程泰隆の友達。その瞬間、私は落胆の色を隠せなかった。(この理由と告白の返事は後になって聞くことになる)
花火大会は最悪になる一方だった。大雨になって中止になるし、すぶ濡れで風邪は引くし、友達に冷やかされてまともに話せなくなる。しまいにゃ私がふてくされたままで空気はさらに重い。帰る頃やっと二人きりになれても、手はつなげない、会話もはずまない、家まで送ってもらった後、したかったおきまりのキスも出来なかった。
そこで私の恋は終わった。終わったはずだった。