後輩は性奴隷……4-3
「……子供はどうした?」
暖かい陽気に包まれているはずなのに、とてつもない寒気に襲われる。
でも俺は聞いておかなければならない。
「堕ろした」
意外と早い返答だったものの、先程よりもトーンが低い。
「そっか……辛い思い、させたな」
俺の言葉に、朱音は何も返さなかった。
期待していたわけではないが、無言だとやはり苦しい。
「俺にも、供養させてもらえないか?」
「……うん。今度、行こ?」
「あぁ。約束な」
幾分かは明るくなったものの、空気は重いままだ。
話題が話題なだけに仕方のないことだが。
俺は俺にできる形で、亡くなった我が子を見届けないといけない。
朱音のことを想い続けているとか、そんなことはもっと後に切り出すべきことだ。
「そう言えば、何処に通ってるの?」
無理に振る舞う朱音の心境を汲んで、
「ほら、一緒に行こうって言ってたとこ」
と話題転換に素直に従う。
「え? 一緒っ」
「ウソ!? マジで!?」
「ホントホントっ。学部は?」
「経済学部……朱音は?」
「あぁ……私は社会福祉……」
成る程。
学部が異なるせいで、通うキャンパスが違ったようだ。
同じ市内にあるとは言え、もう一方の敷地に入らずに卒業することも珍しくはない。
俺と朱音の学部では通う敷地が違ったため、今まで出会うことがなかったのだろう。
そんな運命に悪戯に、俺は面白いように翻弄されていたのだった。