後輩は性奴隷……2-3
「ぁはっ……っ……」
彼女の体が弾む瞬間を俺は見ていた。
中指の腹が蕾に当たった、まさにその瞬間だ。
体を小さくして、快楽に波打つモーションを最小限に食い止めようとしている結衣。
裾を掴む左手に力が入り、距離を失った膝を悩ましげに擦り合わせている。
「……っ、ん……はぅっ……」
項垂れるように前傾姿勢になり、時折ビクビクッと弾む。
もはや指の動きは見えないが、結衣がやっていることは俺には解っている。
屋外にある喫煙所の、数人とはいえ人がいる中で自慰に耽り、達しようとしていることが……。
「くふぅっ……っぁ……」
踵を浮かし、小刻みに震える結衣の肢体。
人知れずイッたようだ。
端から見ても体の緊張がなくなり、脱力していくのが良く解る。
俺はそれを見届けると、灰皿に煙草を押し付けた。
「あざっした〜」
店から出て行く客の背に声を投げる。
結衣がイッたあの後、俺はバイトがあるので早目に学校を後にしていた。
彼女には、パンツは脱がせたままで部室に戻るように言ってある。
客が退いたのを見計らって携帯を開き、結衣からのメールを確認した。
どうやら何人かの新入生と一緒に食事に連れ出されたらしい。
時間は19時過ぎ。
バイトが始まってから2時間経っており、バイトが終わるまでにはあと3時間ある。
煙草に火を点け、ぼんやりと防犯カメラの映像に視線を遣った。
もう一人のバイトは前出しや品出しをやりつつ、時間が経つのを待っている。
実際、大学の近くにあるこのコンビニは、新勧に追われる日中を除くとあまり売り上げが伸びない。
とは言え、多少は学生や近隣住民がちらほらと来店する。
新勧時期のこの時間帯はそういう状態なのだ。
俺も掃除とかして暇潰そうかな……。
ペーパータオルにアルコールを吹きかけレジスターの台を擦っていると、事務所に戻ってきたもう一人のバイト、田村真里が物珍しそうに見てくる。
「明日は雨ですね」
「失礼な!」
とか言いながら作業を再開させる。
彼女は田村という苗字から『たむっちゃん』と呼ばれ、俺もそう呼んでいた。
通う大学は違っていたが、下宿先は近所にある。
今年2回生になった、1つ下の女の子だ。
「最近別れたんですよ〜」
たむっちゃんはそう呟くとパックのミルクティーを啜り、はぁっと溜め息をついた。
「ふぅ〜ん」
興味なさ気に返しながら、俺もコーヒーを一口含み、事務所のパイプ椅子に腰を下ろす。
それは、世間話を始める合図だ。
「相性が合わないって言うか……」
その言い方からすると、たむっちゃんの方からふったのだろう。
肩辺りまである赤茶色の髪を揺らし、彼女はパイプ椅子の背もたれに体重を預ける。