4・揺らぎとキスと甘えん坊-1
来週はいよいよ新曲が発売する。
その日の為に雅は厳しいレッスンに耐えてきたんだから、いい結果を出さなくちゃ。
CDの発売が決まると、発売日の少し前からテレビやラジオ番組にゲストで出て、または雑誌等で宣伝したり、ネットで先行配信したりする。
それだけでは無く、きっちりブログとツイッターにも宣伝の書き込みも忘れちゃいけない。
「雅、もう書けた?チェックするから見せて」
「こんな感じかな、ちょっと見てくれ」
雅のブログを確認する。
¨来週は僕、MiYaBiの新曲発売です!ぜひぜひ、ぜひぜひ買ってくださいね¨
「どうだ?」
「・・・変よ。文章は普通だけどこの画像・・・」
CDケースを沢山並べてMの字を作った画像が載っていた。
「ホントはフルネーム作りたかったけど、あんまり枚数使ったら怒られるし、何よりカメラに納まり切らなくてさ」
「変な方向に力が入ってるわね。インパクトは大事だけど、もう少し力を抜いてみたら?」
「・・・駄目か、これで」
「もう1回やり直し」
あまり変な事をやったら、雅のイメージが崩れてしまう。
私が知ってる顔とは別にファンが見ている顔もあるからね・・・
「分かったよ。じゃあやり直すから・・・」
それからしばらくして、雅はもう一度ブログを見せてきた。
「これならどうだ、まりな」
さっきとは対照的に画像はジャケットのアップで、代わりにびっしり文字が敷き詰められていた。
新曲は元気のいい感じで落ち込んだ時に聞いてほしい、歌詞も気合い入ってる、是非聴いて下さい・・・
アーティストとして優等生並みのコメントだ。
歌を通してファンに元気をあげたいという、雅の思いが伝わってくる。
「いいわ、雅。こういう時は真面目よね」
「なんか引っ掛かるなその言い方」
「でも・・・ちょっと真面目すぎるかな。もう少しだけ崩してみてもいいんじゃない」
「えーこれでも駄目なのか。じゃお前書いてくれよ、俺分かんないもん」
「ちゃんと自分でやりなさい。いい?これは遊びじゃないのよ、分かってる?」
これでもいいと思うけど、在り来たりな感じがしてしまう。
厳しいかもしれないけど雅の今後の為だから・・・