どこにでもないちいさなおはなし-4
少女は暫く考えてから、上等な上着を着たカエルに向かっていいました。
「どこかで一度座ってから、持っている物を確認しましょう。だって、わたしたちお金を持っているか、わからないもの」
ぽんと、上等な上着を着たカエルは、手を打ち。
「あぁ、それは、とても良い考えだね」
と、言って。その場に座りこみました。
芝がふかふかとよく、育っている場所でした。
カエルは上等な上着のポケットをひっくり返して中身を出します。
中からは何枚かの金色に光る硬貨と、何かの刻印が彫られた指輪が出てきました。
それから飴玉が2つと、銀の鍵と、滲んで読めないメモが出てきました。
「わあ、すごい、僕のポケットにこんなに入っていたなんて」
黒い目をまぁるくして驚くカエル。
同じくらい目をまぁるくして驚いた少女も言いました。
「本当。まるで宝箱みたいね」
どちらからとなく、吹き出し、笑いました。
少女は鈴のような声で。
カエルは少し高いしゃがれた声で。
「次はわたしの番ね」
上等な上着を着たカエルの隣に座って少女はあかむらさきいろのワンピースのポケットをそっとひっくり返しました。
ポケットからは何枚かの金色に光るカエルの物とは少し大きさが違う硬貨と、やはり、何かの刻印が彫られた少し小さめの指輪と、赤いセロファンに包まれた2本の薄荷の枝と、小さな古めかしい銀の手鏡が出てきました。
それから、これは上等な上着を着たカエルが引っかかっているのを引っ張ったのですが、細い銀のチェーンもポケットに入っていたのです。
「君のポケットもまるで、宝箱のようだ」
上等な上着を着たカエルはまた目を丸くし、少女は可笑しそうに笑いました。
月と星はそんな二人を静かに、見守っていました。
金色に輝く宮殿で、肩の辺りで揃った金の髪を風に揺らしながら、第3467代のイヴ、その名をイヴ・ネーリアと、いい、そのネーリアは、遠く東の空を見ながら、ため息をついた。
後ろでは青い髪をした少し浅黒い男性が、そっと、ネーリアの肩を抱き。
「大丈夫。強い子だから」
と、力強い声で、告げた。
頷いたネーリアの頬に、涙の跡があったことは、そばにいたこの男性しか知らない。