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tomomi
【若奥さん 官能小説】

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tomomi 1-3

一度は入り口を素通りして、意を決してまた引き返して入り口のドアに立った。

小さなスイッチを軽く押して開くタイプの自動ドアだったがいくら小突いてもドアは開かなかった。

私は救いを求めるような気持ちでスイッチを押し続けたがよく見ると[営業時間 19時から]と書いてある。

脂汗がドッと出てきた。

仕方ないから、しばらくその辺で時間を潰してあたりが暗くなってからまた出直した。


店内は意外に狭くて、そのわりには壁から棚からショーケースからその手の道具が所狭しと陳列されてある。

天井にも何だか分からないものがたくさん吊るしてあった。

奥から小柄な中年店主が出てきて「いらっしゃい!」と愛想よく声をかけると、それきりショーケースの後ろに座って手にした文庫本を読み更っている。

後から思うにいい対応だと感心する。
普通の店ならなんとずさんな態度かと思うけど、そんな道具を取り扱う店で客を見るともなく無関心を装おっていれば客はゆっくりと店内を見て回る事ができるのだ。

同じ太さの同じような道具なのに値段がずいぶん違っていた。
いずれも値段は様々で男性器を象った似たようなものだけど、例えばこちらのピンク色の物は二千円。
こっちの透明のは六千円で化粧箱に入った肌色の見た目もそのものなのは一万円以上もする。

どう違うのか説明を見たけどチンプンカンプンでそれこそ隣に親友の知美でもいれば、二人で分からないなりに相談できたものだけど…


「あの…これとあれでは値段がずいぶん違うけど、何が違うのかしら?」

私は気の良さそうな店主に訪ねてみたら素材と機能が違うという事をまるで家電の説明のように淡々と丁寧に教えてくれた。


つまり、こっちの安いのは普通のシリコンで使い心地も硬くて振動するだけだったが向こうの高級品の方は何とかいう特殊な素材が使われていて本物の感触に近く、くねったりピストン運動までする優れものだという事だった。

しかもさらに女のぽっちりとお尻の穴まで同時に攻めるという…
私はこんな格好までしてここまで来て、一生の買い物のつもりで一万三千円のを買って帰る事にした。

店主はまるで髪止めなんかを買った時のようなファンシーな紙袋に入れた上、どこで調達したものか和菓子の手提げ袋に入れて渡してくれた。

これならばバスに乗って帰っても菓子折りにしか見えない。
つくづくそのお店の心配りには感心してしまった。


それでさっそくその夜、最高級の道具を試してみたけれど硬くて激しくて痛い…
おまけに動きが激し過ぎて気持ちよくなる前にスッポリと抜け落ちてしまうのだ。

それでも今日は忘れられない夜になったのだ。

変装して…
もう一人の私に変身して見知らぬ場所に行けば、何だってできるのだ。

そこで思い出したのが親友の知美と飲みに行った叔母さんの店のある街。

誰も知らない私になって、生身の男が欲しい。


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