3・恥と焦らしとエロ漫画-8
「でも無理だな」
「えっ?」
雅は急に立ち上がり、濡れていない方の手で携帯を持って見せてきた。
画面に刻まれた時刻は、次の仕事までもう10分しかない事を意味している。
「ちょっと焦らしすぎちゃったかな、へへっ」
雅は慣れた手つきで両手を縛っていた紐を解いていく。
しつこいくらいの愛撫とは違い、単にお茶を飲もうとしてペットボトルの蓋を開ける様な無機質さだった。
「さあ、行こうぜまりな。もう行かないと遅刻だぞ」
「・・・・・・」
何を勝手な事言ってるの、雅。ここまでしといて。
こんな寸前で止められた状態で集中なんてできっこない。お願い、ちゃんと最後まで・・・
「時間無いぞ」
「う、うん、分かってる」
でも、仕方ない。穴を開けるなんて事は絶対に出来ないのだ。
まだ甘く痺れて快楽を忘れられない体を何とか起こし、行為の証を拭いてからショーツとスカートを履き直した。
慎重にドアの隙間から誰もいないのを確認し、出ようとした。
「きゃっ?!」
すると雅が私に抱きついてきた。
もう何もしないはずなのに、一体どういうつもりでこんな真似をしたのだろう。
「・・・・まりな」
「な、何よ?速く行かないと時間が」
「・・・・・・後で、ちゃんとしてやろうか」
「えっ・・・?」
思わず振り向いたところで、耳たぶを噛まれた。
「嘘だよ、へっへっへっ。自分ですれば?」
「あうっ!」
更にブラウスの上から胸を揉まれてしまう。
「・・・まりな」
「や、やめなさい、ふざけるのは!」
「・・・・・今日も、来いよ。ちゃんとしてやるから」
「えっ?み、雅、待ちなさい!」
雅は逃げる様に足早に個室から飛び出し、そのまま去っていった。
(・・・・雅・・・どういうつもりなの・・・?)
私は時折、ただ雅に遊ばれている様に感じてしまう。
でも今の言葉は含みがある様には思えなかった。
(ただ、私の体が欲しいだけ?教えてよ、雅・・・)
〜〜続く〜〜