3・恥と焦らしとエロ漫画-3
「だって・・・芸能人は誰に見られてるか分かんないだろ。もし俺が、エッチな漫画を買った所を見られたらどうする?」
「う・・・・そ、それは駄目よ、イメージに傷が付くわ!」
「そうだよな?だから、まりなにしか頼めないんだ」
さっき路上で乳を揉みしだいてた男の言うことかよ・・・・
このバカ野郎、揚げ足取る様な言い方して、最低!スケベ!
「無理!ハードル高い、高過ぎ!何でいつも通り普通の漫画じゃないのよ」
「今のとこはそっちの方は欲しいのがまだ発売じゃなくてな。お願いするよ」
くっ、やられた。
仕方ない、もう覚悟を決めよう。さっさと済ませなくちゃ。
私は呑気にいってらっしゃいと抜かす雅を無視して、目の前の本屋に飛び込んだ。
入った瞬間、何とも言えない籠もった様な匂いが鼻の中を攀じ登ってくる。
でも店構えは割りと普通らしく、少年漫画がいくつもある棚に隙間無く並べられていた。
意識しない様にしたかったけど、いつしか私の視線はピンクの暖簾がかかった店の片隅に釘付けになっていた。
(R−18、か。そういえば雅はもう入っても問題は無い歳だったわね)
いつからエッチな漫画なんて読む様になったんだろう。
雅の態度はスタッフや共演者にも評判が良くで、いい子だと言われる事が多い。
それは、決して表の顔という訳ではなく、私に対しても普段はそういう態度なのだ。
うまく言えないが真面目さとか変態さとか、様々な物が混ざり合って、夏蒸雅という人間を作り上げている。
・・・・変態な部分は私にしか見せないけど。
(これもマネージャーとしての仕事なのよ。すぐ終わるから)
もう一度メモで頼まれた漫画のタイトルを確認してから、白みつぶしに棚に並んだ本を探す。
うわぁ・・・何よこれ、凄まじいタイトルだらけじゃない。
学園奴隷部、いけない理科室、体育館は肉欲倉庫、担任を肉便器にしてみました
あぁあああ、もうダメ、頭がおかしくなりそう。
雅・・・あなたは何のつもりなの。どうして私をこんな場所に行かせるの?
もう、嫌。多分あの子は今頃私がどんな様子なのか想像して、ほくそ笑んでいるに違いない。
こんな所早く出なきゃ。
(・・・どんな内容なんだろう?普通の漫画とどう違うのかな)
私の中に、少しだけ湧いた小さな好奇心。
何を考えてるんだ、と自らを戒めようとした。
でもどこを見ても周りは卑猥なタイトルだらけ、頭の中までピンクに染まりそうだ。
・・・・そうだ、どうせ買う時に手に取るんだし、ここで見ても問題は・・・