2・姉と不機嫌と前の穴-2
「開き直ってんの?相変わらず最低だね、君って男は」
「ありがとう。誉め言葉として受け取っとくぜ」
そんな言い方ってことは一応気にしてるみたい。
「品行方正で杓子定規な男は面白味が無いからな。少しくらい曲がってた方が魅力的なのさ」
「・・・・・・少し、ね」
もし、正しくないというのなら、あの子はどれくらい曲がっているのだろう。
確かに少々やりすぎな部分もあると思う。
それでも、普段の姿は・・・男の子だ。どこにだっている普通の男の子なんだ。
差し入れにコンビニでちょっとしたお菓子を買ってきたら喜んでくれる、可愛い子。
「また難しそうな顔してるぞ、まりな。俺でよければ話してみろ」
「君じゃ良くないから話さない。じゃあまたね。もう会いたくないけど」
「おっ、おい!待て!」
時計を見たらもう行かなくちゃいけない時間だったので、さっさと休憩所を後にした。
「まりな!勝手に行くなよ」
「だから時間無いの。またねって言ったでしょう」
「悩んでるんだろ、あいつ・・・雅の事で」
何で知ってるんだろう。
雅は日比野君とよく話してるのを見るけど、まさか私と何してるか話した・・・とか?
「べ、別に、ちょっと元気すぎて話を聞かない時があるだけ。日比野君には関係無いから」
「気にしすぎなくていいんだぜ。どんな親しい間柄だって、何もかも知ってる訳じゃない。だから、気張らずいけよ、な?」
たまに日比野君はまともな事を言う。
今の私にとっては残念ながら少し的外れだ。
でも、励まそうとしてくれたからちゃんとお礼は言っておこう。
「ありがとう」
「いいんだ、お礼なんて。思いっきりハグしてくれれば!」
抱き付こうとして私に躱された日比野君は、勢い余って自販機にぶつかった。
それでもへばりつきながらキスを繰り返している。多分、私をハグしているつもりなんだろう。
あれくらいになれたら私も悩んだりしないのかな、と思った。