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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 最終話 別離-4

**――**

 ヘンリーが二度三度床を叩くと女は大人しくなり、リョカは近くにあった荒縄で縛った。部屋の奥に押し込めたあと、二人はようやく一息つく。
「ふむ、礼を言うぞ。リョカよ」
「んーん、ヘンリーこそ無事で良かったよ。待ってて、今ホイミをするから……」
 リョカは念入りに印を組むと、ヘンリーの痛々しい傷口に手を翳す。
「ほう、回復魔法まで使えるのか……」
「簡単なのしかできないけどね……」
 驚くヘンリーに照れながら言うリョカ。彼と会ってから出し抜くというか驚かせるのはこれが初めてかもしれないと、ちょっと得意になってしまう。
「ますますお前を部下にしたいな……。いや、もうお前は俺の子分か……。いや、良い子分を持ったものだ」
「ははは……」
「しかし、奴らは何者だ? 俺を王子と呼んでいたし、やはりそれを知っての賊か……。となるとデールも危ないな。リョカよ、すまないが付き合え」
「はい、僕もそのつもりです」
 一転して真面目な表情になるヘンリーに、リョカは力強く頷く。

 周囲を伺い、気配を探る。たまに魔物の姿を見かけ、すれすれで戦闘を回避する。
 いくつか小屋を探ってみたが、デールと思しき者はいない。それでも二人は必死で古代遺跡の中を巡る。
「……いったいどうなっているんだろうな。この廃墟、迷路のようだ」
 しばらく歩いていたヘンリーは、この複雑な造りに辟易したように呟く。
 古代遺跡内部にはそこそこ深い水路がいくつもあり、それをわたるにはたとえ直ぐ目の前であっても大きく迂回して立体交差路を通る必要がある。
 水路を横切ることも考えたが、足跡が残ることで脱走がばれると、仕方なしに遠回りをする。
「……なにか理由があるのかな?」
 リョカは不思議に思いつつ、まだ微かでしかない疑念を飲む。
「むっ……、なんだか大きな小屋……というのも変だが、あるぞ」
 ヘンリーの示す方向には「大きな小屋」があり、そこから微かに明かりが見える。
「デールさん、あそこにいるのかな……」
「うむ。だが……、何故俺達は別々に閉じ込められたのだ? 三人一緒のほうが監視も楽だろうに……」
「さあ?」
 確かにと思うリョカ。そのおかげで脱出できたわけだが、それを開いてのマヌケが理由というにはやや鈍感すぎる。
「まあいい、今はデールのことのほうが心配だ。いくぞ、リョカ」
「はい」
 ヘンリーは鞭を握りなおし、リョカもやや刃こぼれが目立ち始めた刃のブーメランと、鋼の杖を構える。

**――**

「……兄上をどうするつもりなんですか?」
「ご心配なく、デール様はただ大人しく時が来るのを待てばよいのです。さすれば時期にラインハットの王となれるでしょう」
「なにを言っている! まだ父は健在だ。それなのに……」
「ほほほ、本当にそう思われますか?」
「まさか既に父上も?」
「ここまでして生かしておいでと思うとは、さすがデール様」
「く、だが僕は王位に興味はない。兄上、ヘンリーこそが時期王に相応しいお方だ」
「そう謙遜なさらずに……。貴方には貴方にしか出来ない才能がありますゆえ……、時期王にはデール様が即位なさるべきでしょう」
「ならば時期王として命じる! そして兄上とリョカさんを解放しろ!」
「ほほほ、貴方の命令など誰が聞きますか? 貴方が王となり最初にすべきことは傀儡……、操り人形になられることです。そう、誰の言葉に素直に頷き、ただただ愚かな王を演じること、それが貴方の才能……」
「ぐっ! 貴様、無礼な! 兄上! リョカさん!」


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