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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 その六 策謀-6

**――**

 ラインハット城の裏口から入る一行。リョカはともかくどうしてヘンリー達が正門から入らないのかは、兄弟が城をこっそり抜け出してきたからだ。
 通路に誰も居ないのを見計らい、ヘンリーは像の近くに隠してあった鉤付きの棒を天井に向ける。やや手間取りながらも何かに引っ掛けると、蓋が開き、ばらばらっと縄梯子が落ちる。
「これを上るんだ」
「へぇ……」
 ヘンリーはまずお手本を見せ、するすると登る。次にリョカがガロンを背負いながら上る。その様子を見ながら「不便だね〜」とシドレーも上がる。最後にデールが縄梯子に捕まったのを見て、上から一気に引き上げる。
「アイツはまだ小さいから自力で上がれないんだ……」
 ふんと笑うヘンリーは、なかなかの親分気質のようだ。
「さて、家庭教師が来るまでにはしばらくあるだろう。デールよ、そのものらを書庫に案内してやれ……。その前にしっかり口元を拭いておけよ?」
 ヘンリーは笑いながらデールの口元を指さすが、自分の唇も……。

**――**

 デールに案内されながら宮中を行くリョカ達。たまにすれ違う女中は見慣れぬ少年を不思議そうに見ていたが、騒ぎ立てる様子もない。
「そういえば鍵が掛かってたっけ……」
 城の一階の端っこの少し薄暗い通路の先まで来たところで、デールは思い出したように呟く。
「どうしよう。書庫の鍵は大臣が管理してたし、貸してって言って貸してくれるかな……」
「鍵は魔法の鍵なの?」
「んーん、普通の鍵だよ」
「そう。なら大丈夫だと思うよ。案内してよ」
「? 大丈夫?」
 デールは不思議がりながらも先へ行くことにした。

 やや厳かな扉の前に来て、デールはその鍵がしまっていることを確認する。
「やっぱりだめか……。どうしよう……」
「大丈夫だよ。ちょっと離れてて……」
 リョカは印を素早く組むと「アガム」と唱える。すると地面から大地の精霊が集まり、錠が下りる音がした。
「今の魔法? 君、魔法使いなの?」
「これはホビットのおじさんに教えてもらったんだ」
「へぇ……。僕も魔法の練習してるんだけど、あんまり上手く出来なくて……。せめて兄さんみたいに鞭が使えるとかならいいんだけど、運動も駄目だし、さっぱりだよ」
 デールは自嘲気味に笑い、ドアをあける。
「そんなことないよ。デールさんだって練習すればきっと出来るようになる。さっきの魔法は簡単な鍵ぐらいしかあけられないけど、そんなに魔力を集中するものじゃないから練習すればすぐにできるようになるよ」
「でも、僕には無理だよ」
「大丈夫。本当はあんまり人に教えちゃいけないんだけど、デールさんは王子様だし、泥棒をしたりしないよね? だから詠唱を教えてあげる」
 リョカは手で印を組み、デールに真似をさせながらゆっくりと唱える。
「大地に眠る悪戯な精励よ、我は彼の者の戒め破らんと願うなり……、戒めを解け、……アガム……」
 デールも同じようにそれを唱えると、二人の手の間に大地の精霊達が集まり始める。
「わわ、本当だ……。僕が精霊を、魔法を使えるなんて……」
 喜びのあまり集中が途切れてしまい、精霊は好き勝手に消えていく。
「うん。デールさんはまだ練習が必要みたいだけど、でもきっと出来るようになる。だからやる前から諦めないでね」
「う、うん! ありがとうリョカさん!」
 デールは初めて明るい笑顔になると、鼻歌混じりに部屋を行く。
 ヘンリーとの力関係を見るに、デールは常に庇護の対象なのだろう。武術、胆力に優れた兄は意外にも優しい面を持っているのは城を一緒に抜け出しておやつを買いに行くことでわかっている。ただ、そこにどれだけの「侮り」があり、それが弟の克己心を阻害しているかを、二人とも気付いていないのだろう。
 これを機会にデールが自分に自信をもてたならと、リョカは人事ながら思っていた。
「えっと、この本棚の……、これかな……」
 デールは一冊の古い本を手に取り、ぱらぱらと捲る。
「あった、これだ……。竜の神に関する伝承……」


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