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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 その六 策謀-2

++――++

「がきは引っ込んでな!」
 身長二メートルになろうという大男が、その半分よりやや大きいといった程度の子供を相手にすごんでいた。
「これが引っ込んでいられるか! 列を割り込んだだけならまだしも、お一人様一セットの地鶏焼き鳥を三セットもせびりおって! ルールというものを守れんのか!」
 対し子供も負けておらず、男を睨み返す。
 少年は質の良い緑の髪が印象的で、意思の強そうな太い眉毛とやや上がり気味の瞳は青く燃えている。
 また地味目な羽織を着ているものの服も上質なものであり、見る人が見ればその出自がただものではないとわかる。
「兄上、その辺で……」
 意気込む少年の影で震えるのは弟だろうか? 髪の色が金色であり、複雑な家庭環境にあるのだろうとわかる。
 こちらの少年は優しそうな、ともすれば気弱そうな垂れ目であり、兄がこれ以上相手を刺激しまいかと、ひやひやしている様子が見て取れる。
「なんだ、ケンカか……、アホらし、行こうか……」
「デールよ。いいか? 今ここでこの者らの横暴を許せば、朝早くから並んでまで買おうとした地鶏焼き鳥セットが売り切れてしまうのだぞ? それでも良いのか!」
「なぬ!」
 それを聞いては黙って帰れないシドレー。もちろんこの行列の中で高々二セットを取り上げたところで自分達が買えるわけでもない。だからといって暴漢にみすみす美味しい思いをさせるのも癪である。
「くそ、こいつこそ焼き鳥にしてやるか……。だが、目立つのもあれやし……」
「シドレー大丈夫?」
 するとリョカがやってくる。騒ぎを見ていてもたってもいられなかったのだろう。
「ああ坊主か……。まあ並んでても買えないししゃーないか……。それよりほら、あのガキとおっさんがな、どうやら最後の焼き鳥セットを取り合いしてるみたいなんだ。まああれだ、食いモンのなんとかやし、引っ込みがつかんじゃろうな」
「そうなんだ……。あーあ、がっかり……」
「しゃーない。また明日並べばええやろ……」
 そういってリョカを宥めるシドレーだが、彼もまたがっくりとため息をはく。
「おら、どけ!」
 ひとだかりが出来始めたことに男は苛立って少年を突き飛ばす。強引にこの場を去ろうという算段なのだろうが、少年は踏みとどまり、さらに腰から鞭のようなものを取り出す。
「大人しくしろ。痛い目に遭いたくなければな!」
「兄上!」
 少年が武器を構えたことに弟が驚いてそれを制止しようとする。だが、少年は軽く弟を押し退け、びゅんびゅんと鞭を振るう。それは子供の遊びをはるかに越えており、砂埃を巻き上げながら、空を切る。
「うは、なんだあのガキ……、まじでただものじゃないぞ……」
 シドレーの言葉にリョカも無言で頷く。
 少年の持つそれは蛇皮の鞭だろう。しなやかさと丈夫さ、そして伸縮性を持つ初級から中級者の扱う鞭だ。
「は、ガキの相手なんてしてられっか!」
 男はそう言いながらも、気迫に圧されているのが見える。
「どこがいい?」
 そして不敵に言う少年。
「あん?」
 パシィィッ!!
 空で音がした。それと同時に男は左腕を庇う。
「ラインハット仕込の操鞭術、たかが子供と侮るなかれ……、鞭の先端の威力は長さに比例し、勢い如何によっては乗数的に増幅されるのが通説、次はどこを狙って欲しい?」
 ひゅんひゅんと風を切る鞭。それは円運動をしながら男の右膝をかすり、肩口をかすり、さらに鼻の頭をすれすれでかする。


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