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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 その五 ラインハットへの旅路-5

「大丈夫だよ。僕は負けないから。それにアンさんにも絵を描いてあげる約束をしたんだ。だから大丈夫だよ……」
 リョカは彼女を優しく受け止め、涙に震える彼女が落ち着くまで、そうしていた。
「ごめんね。大人のくせに泣くなんて恰好悪いよね? 強いなんていっても、せいぜい魔法が使えるだけだもの、私なんて……」
 両目をウサギのように真っ赤にさせたアニスは彼から身体を引くと、照れ笑いをしながら涙を拭く。一体彼女がどうして突然泣き出したのかはわからないが、それでも何か強い不幸があったのだろうと察し、リョカは辛かった。
「んっ……」
 すると彼女は突然目を閉じ、唇を突き出してくる。シドレーは「またか」とぼやきながら、リョカに判断を任せてガロンと一緒にそっぽを向く。
「駄目だよ。キスは大切な人とする行為、本当に好きな人としないと……」
 リョカは彼女の下唇にそっと人差し指を当てると、ちょっと強く押す。
「……むぅ、貴方はいつもそう……」
 アニスは酷く残念そうにそう言うと、すっと立ち上がる。
「それじゃあ私はこれで……。きっとまた出会うことになると思うけど、私はいつでも貴方達の味方だからね……」
「うん。僕はアニスさんのこと信じてますよ。すごくカッコイイ魔法使い! 憧れます!」
「本当! 嬉しいな!」
 アニスは「こまっちゃうな〜」などと嬉しそうに身体をくねらせるので、シドレーは我慢していた一言をポツリ……。
「坊主の貞操の敵」
「死ね、トカゲ!」
 無詠唱の炎はシドレーの居た空中を通過して、空へと消えていった……。

**――**

 アニスと別れたリョカが家に戻ると、今度はまた別のお客が着ていた。
 緑を基調とした礼服に身を包む初老をとうに過ぎた老人と、その護衛らしき全身鎧に身を包んだ兵士二人。兜はフルフェイスらしく表情が見えないが、よく訓練されているらしく直立不動で待機している。
 リョカとシドレーは何事かと思い、窓から家の中を伺う。
 どうやらパパスに用があるらしく、居間兼応接間にてなにやら話しているのがわかる。
「おいリョカ、あの鎧、どっかの国のか?」
 シドレーに言われて鎧をよく見ると、肩口に緑の二本線とライオンのマークがあった。それは東にあるラインハット国の紋章である。
「あれはラインハットの紋章だよ。ここからずっと東にある国で、前に父さんと一緒に言ったことがあるよ。僕は小さかったから覚えてないけど……」
「ほう……。お前の親父、いろんなところにコネあるんじゃな……」
 感心した様子で呟くシドレーにリョカは少し鼻が高かった。
「んでも、なんでわざわざ親父に会いに来たんだ? あんなごっつい装備の兵士二人に守られてるってなるとかなり高級な官僚だろ? お前の親父はただもんじゃないだろうけど、いっちゃなんだが上流階級じゃないだろ?」
 あけすけなく言い切るシドレーだが、それはリョカも同じことを疑問に抱いている。
 そもそも父とは物心付く前から旅をしていたが、その生業がなにであるかは教えてもらっていない。旅をして何かを発見して報酬をもらう冒険家かとも考えたが、パトロンの存在も見えない。それにサンチョのような従者を従えていることも不思議なことだ。
「ね、何を話してるかわからない?」
「無茶言うな。俺かてお前と同じしか聞こえんわ……」
 ならばと耳を壁につけるが、レンガ作りではそれもままならない。かといってずかずか入るのも気が引ける。しょうがなく座り込むリョカ。その隣ではガロンがお昼ねするために彼の膝を枕にする。
「どうしようね」
「さあな。ま、なるようになるだろ……」
 そう言うとシドレーもリョカの道具袋に潜り込み、すぐに寝息を立てる。
「もう二人とも……」
 リョカはそう言いつつも、遅まきな春の陽気に転寝を始めた……。


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