たとえばこんな結婚記念日-1
ある大雪の次の水曜の朝。
今日はダンナと結婚して最初の結婚記念日。でもダンナは結婚のケの字も記念日のキの字もいわず、いつも通り仕事に行った。
ま、しょうがないかと半ばあきらめモードで、家事にとりかかることにした。
「真人のバカ」
独り言がむなしくヒビく。買い物に出るために車庫の前の雪かきをすることにした。
「カツンっ」
雪かきの最中、何かがスコップの先にあたる。雪をよけてみると、そこには昔懐かしの銀色のおべんと箱。中をあけると、一年前の結婚式のときにとった写真、その下の箱をあけるとピンクダイヤのハートをかたどったネックレス。
「トントンっ」
誰かに肩をたたかれた。振り返ると、そこには毎日、見慣れた顔があった。
「今から2泊3日で沖縄いくぞ。準備してこいや」
ぶっきらぼうに真人がいう。
私は満面の笑みでそれに返した。
「真人のバカ」と。