異界幻想ゼヴ・セトロノシュ-9
「おいっ……くそ!」
状況を理解したジュリアスは、苛立ちの声を上げた。
周りを見回して差し迫った危険がないか確かめてから、しゃがみ込んで深花に言う。
「隊が駆け付けるまでまだ時間がある。今からその衝動を鎮めるから、少しおとなしくしてろよ」
ジュリアスが、へたりこんだ深花の体を抱いた。
「な……何なのこれぇ……!」
たくましい首に縋り付きながら、深花は言う。
紅い鎧に乗り込まされた時から体を貫いていた、この感覚。
それは深花にとって全く馴染みのないもので、けれどジュリアスにとっては簡単に説明がつけられるものだ。
「神機へ乗り込んだミルカの体に起こる現象だ。大地から吸い上げたエネルギーは、ミルカの体を通じて散布される。その際、ミルカの体には抗えない性的興奮が生じるんだ」
「ええええぇぇ……!?」
理不尽な話に、深花は声を上げる。
分かりやすく言えば、体がこんな訳の分からない状態に陥っているのは変な物に無理矢理乗せられたせいだというのだ。
そんな様子を意に介さず、ジュリアスは話を続ける。
「自分一人じゃ対処しきれないのは過去のミルカ達からも明らかで、その時乗り込んでいた神機のパイロットと衝動を解消するのが通例だ」
つまり、この男は、今から……。
堪え難い疼きが体中を浸蝕しているせいでまともな思考もできないが、深花は必死に考えをまとめた。
自分を抱こうとしている。
「ちょ、待っ……んっ!」
ジュリアスがしようとしている行為を察した深花は、抗議しようとしたが……遅かった。
唇が触れ合った瞬間、抵抗を粉微塵に打ち砕く快感が全身を走り抜ける。
「んふ、んん、んんん……!」
舌先がちろりと唇をつつくと、そろりと割って入ってきた。
「っ……!」
びくりと、体が震える。
こいつは……出会ってからろくに話もしていない、ほぼ見ず知らずの男だ。
なのに、こんな行為が信じられないくらいに気持ちいい。
濃厚に舌を絡められ、頭の芯がぼうっと霞む。
首に回していた腕が外されたかと思うと、片手に指が絡んだ。
「服……脱げるか?」
ジュリアスの言葉に、深花はぼんやりした目つきで自分の体を見下ろす。
今着ている物はブラウスにベスト、後はスカート。
まあ、ごくありきたりの制服だ。
「ん……」
指をほどいた深花は、制服のボタンに手をかける。
「……あれ?」
指にうまく力が入らず、制服が脱げない。
「……駄目か」
ジュリアスが代わって、ぷちぷちとボタンを外した。
そのまま、するすると服を脱がせる。
あまりこの手の事には縁のなさそうな男なのに、やたらと手慣れていた。
背中に手が回り、ブラジャーのホックが外される。
着ていた物は、あっさりと脱ぎ散らかされた。
それらを下敷きに、深花の体は生い茂る下生えの中に横たえられる。
ジュリアスもシャツを脱ぎ、深花の上に覆いかぶさった。
「きゃうっ」
手の平が乳房に触れた瞬間、キスよりも強い刺激が背筋を走り抜ける。
膨らみは大きいとは言い難いが小さくもなく、ジュリアスの手にすっぽりと収まって実に具合がいい。
「あぅ、あ、あ……!」
硬く尖った乳房の先端を刺激してやると、細い腰がうねうねと妖しくくねった。
体をかがめ、乳首にちろりと舌を這わせる。
「っふ……!」
びく!と、深花の肩が震えた。
様子を探りながら時には慎重に、時には大胆に。
意外なまでの器用さと優しさで、ジュリアスは深花の中で眠っていた性感をいぶり出す。
とはいえ、迎えの来る時刻は刻一刻と迫っていた。
いつまでものんびりと、半裸で草むらに寝転がってはいられない。
ジュリアスはそっと、深花の下半身に指を滑らせる。