幼年編 その三 レヌール城のお化け退治-8
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何か無数の手で押される感覚だった。そして狭い何かに突っ込まれる。
抵抗するも一つ一つが弱いにも関わらず対応ができない。
いつの間にか服をはがされ、冷たいものが肘や膝、太腿に当たる。
箱のようなものに閉じ込められているようだった。
それもすごく狭い。それに何かある。ちょっぴり温かく、やわらかいものだ……。
――なんだろう……。
暗がりの中、手を伸ばす。やわらかいものに触れると、それはびくっと動いた。
魔物だろうか? いや、それなら身動きが出来る状態で一緒に閉じ込めるようなことはしないだろう。
さらに手で弄ること数回、やわらかく、しっとりとしたそれは、甘酸っぱい香りを放つ不思議な存在だった。
「何? これ……」
リョカは正体を探るべく、両手で弄る。すると、そのモノが不意に意識を持ったらしく動き始める。
「誰! 人のお尻を触るのは!」
それはビアンカの声だった。
「僕だよ! ビアンカ! 僕だよ!」
リョカは驚きと安堵の声を上げるが、
「このスケベ!」
ビアンカの手がリョカの太腿を思い切り抓っていた……。
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「ビアンカ……ここ、どこ?」
「わかんない……」
自分の足の方から声がする。どうやら互い違いに逆に押し込められているらしいのがわかったが、それがわかったところでどうすることもできない。
何度か手を伸ばしたものの、その箱は開きそうになく、ただ暗闇に二人を封じていた。
「ね、あたしメラなら使えるから、ちょっとやってみる?」
「え? あぶないよ……」
「大丈夫。空間に出すだけだから……」
「そう? じゃあお願い……」
下半身のほうで何かがごそごそと動く。そしてぱぁっと明るくなる。
「あ、見えた……って……」
最初明かりのほうを見た。そして今度は目の前。
そこには一糸纏わぬビアンカが横たわっていた。
「え!」
股間部分。両足の付け根。自分ならあるはずのモノが無い。代わりに産毛のような金色の毛がふさふさと生えた、ピンクの割れ目が見えた。ちょっと痛そうな感じのピンク色。
絵としてみるのなら、それはただの筋に過ぎない。だが、リョカはごくりと無意識のうちに唾を飲む。
「きゃ! バカ!」
続くビアンカの悲鳴。おそらく彼女は、自分にはあるはずのないものを見たのだろう。
まだ子供。大人になりつつあるリョカだが、今のところ男女の性差を知らない。
好き合う二人ならキスをして、互いに住み、いつの間にか子供を授かるという、無知と呼べるもの。体の違いなど兄弟姉妹が居ないのでなおさら触れる機会も無い。
だからこそ、リョカは不思議だった。
女の子……この場合は好きな子なのだが、彼女のくっきりして、痛そうなピンクの割れ目を見たとき、なんともいえない気持ちになっていた。
――ビアンカの……、おまた……。綺麗だった……。
絵を描くことが好きな少年の素直な感想だったが、下半身は目覚めかけの性に対し素直だったらしく、明かりが消えるその前にはむくむくっと鎌首をもたげていた。
それはリョカの知らないところだが……。