カオルA-6
「分かったよ…」
聞き分けてくれたことに、真由美は優しく微笑むと、
「その代わり、わたしのお気に入り貸してあげるわ」
洋服タンスから、カットソーにフレアのミニスカートを取り出した。
「これにさ。これも…」
淡いオレンジのニーハイソックス。
「アンタ、リップは?」
「あっ、持って来る」
薫は一旦、部屋を出て自室に戻ると机の引き出しを開けた。
奥の小さな箱。開けると、中にピンク色のリップが入っていた。
手にした顔が微笑んでいた。
「お姉ちゃん、持って来たよ」
「じゃあさ、服を脱いでて」
真由美はまだ、何かを物色していた。
「うん…」
シャツにズボンを取り去る薫。白い肌が露になる。
「これも、試してみない?」
真由美の手には、ブラジャーがあった。
「お姉ちゃん、それ…」
「これ、カップがついてるから。少し胸元がさびしいでしょ」
「う、うん…」
薫は云われるまま、姉に身を委ねる。
「じっとしててね」
真由美の手が、薫の肌に触れた。
「薫の肌、きれい…色も白いし、何で姉弟でこうも違うのかしら」
少しの羨ましさ。
「でも、お姉ちゃんは綺麗な服を着れるじゃない」
「わたし逹。お互いに“無い物ねだり”だね」
薫の顔立ちや肌は、母親の須美江似だと真由美にも分かるが、自分は両親のどちらにも似ていないことを気にしていた。
真由美は、養女であることを未だ知らなかった。
「よし…オッケー」
伸縮性のあるスポーツ・ブラが、ぴったりと薫にフィットする。
「ほら、着て」
上からカットソーを着ると、わずかに隆起した胸元が、それまで以上に女の子らしく映えた。
「うん。よく似合ってる」
満足気に頷く真由美。