to Heart〜I LOVE YOU-8
「どぉすんのよ〜……?」
誰もいなくなったドアめがけて、投げ掛けてみるが返事が返ってくるはずもない。
聞こえるのは、ソファーで気持ち良さげに寝てるケンボーの寝息だけ。
とりあえず、毛布を取り出してケンボーに掛ける。
―――かわいい寝顔。
………疲れてるのかな。
おとといは出張、昨日は花火に連れてってくれて、今日は山積みの仕事こなして、みんなとの時間に間に合わせてくれたんだもんね。
「……寝かしとくか。」
明日は土曜だし。ケンボーは休日出勤するんだろーけど。フレックスだから、ここから着替えに帰っても時間は大丈夫だろう。
ひとしきり考えて、とりあえずお風呂に入って寝ることにした。
「……ちょっとぐらい起きてもいーんじゃない?」
お風呂に入ってパジャマに着替えて出てきても、ケンボーは爆睡中。
ちょっとドキドキしながら出てきた自分がバカみたいじゃん。
ちょっとむくれてミネラルウォーターを一気飲みする。
横目でケンボーの姿を見て、ふと考える。
いつも一緒にいられたらどんなにいいだろうって、ずっと思ってた。
会えない時も、ケンボーが私のこと考えてくれたら…って。
これからは、心配しなくてもいーんだね。
不安にならなくてもいーんだね。
すっごい遠回りしてきたね、私たち。
【好き】だなんて、言える日がくるとは思わなかった。ましてやケンボーから告白されるなんて……。
異動の話もすっごく嫌だったけど、よく考えてみると異動話のおかげかも。
な〜んて都合よく考えちゃったりして。
「さて、寝よ。」
ベッドに入ってみたものの、ケンボー、ソファーで寝たままで体痛くならないかなぁ?
かと言って、運べないし…。起こして一緒になんか寝たら、緊張して眠れなくなっちゃう!
ごめんっ!ケンボー。一人で寝かせていただきます。
明日の朝はおいしいご飯を作ってあげよっ。
今まで遠回りしてきた分、これからは素直になるからね。
明日の朝は、甘〜いKissで―――。