to Heart〜I LOVE YOU-7
「……今までだって、一週間会わない時だってあったじゃん。」
シラフの私は呆れて言う。そーそー。その間にどんだけ私が不安になったことか……。
「この一週間の間に、お前総務部に異動があるだろ。」
あ、確かに。でもケンボーがいてもいなくても。私の異動なわけだし。
不思議がって首を傾げてると、耳元で囁くようにケンボーが言った。
「……心配で、おいていけない。」
「大丈夫だよぉ。それじゃまるで私がケンボーがいないと、何もできないみたいじゃん。」
腕を振りほどこうと、ケンボーの腕に手をかける。でも………。
「そーなっちまえばいい。俺がそばにいないと、呼吸もできないくらい―――。そしたらお前は俺から離れないだろ?」
振りほどけない―――。
嬉しくて、恥ずかしくて、力が入らない。されるがまま、抱き締められてる。
「酔っ払いが、完全に暴走してるよ。」
安部ちゃんは頬杖ついて呆れたまま。
「お邪魔ムシは帰るとしよう。」
亜由美はさっさと帰り支度。
「千優希ちゃん、今日それ連れて帰れ。」
柊ちゃんまで見捨てる気?
ケンボーはとゆーと、背中越しにどうやらねむねむモード。
「待ってな。タクシー拾ってやるから。」
柊ちゃんが席を立つ。
「長いこと言えないで苦しんでたんだ。ちょっとバカになってるけど、大目にみてやれ。」
安部ちゃんが優しくケンボーの頭を撫でた。
私が苦しかったのと同じくらい、ケンボーも苦しかったと思っていいの?
「北川〜。ここでいいか?んじゃ俺ら行くわ。」
ソファーにケンボーを放り投げて、安部ちゃんと柊ちゃんが帰ろうとする。
「ねぇ。ホントに置いてくの?ケンボー。」
ここまできても、半信半疑。
「んじゃ、あとよろしく!」
「おやすみ。千優希ちゃん♪」
パタン。あっさりドアを閉めて去ってゆく二人――――。