to Heart〜I LOVE YOU-6
「でもさ、私はケンボーが何かするたびドキドキしてたのに、ケンボーはさっぱり冷めた対応だったよ〜?」
ケンボーを睨みながら、ちょっと愚痴。
「千優希ちゃんには、特別だったじゃん。気付よ〜。藤木、亜由美ちゃんには頭撫でたり、電話したり、二人で会ったりしないだろ。」
……そーいわれれば、そんな気がする。自分のことで精一杯で、まったく気が付きませんでした…。
「ケンボーは千優希に癒されてるんだもんね〜♪」
一気にほっぺが真っ赤でゆでだこ状態……。ケンボーの顔を見上げたら、ケンボーも耳まで真っ赤になってる……。
「だいたい、好きじゃなきゃ夜中の12時頃アパートに行ったりしないもんだよ?千優希ちゃん。」
柊ちゃんが、こっそり私に耳打ちする。
そーいえば、出張帰りのその足で、おみやげ届けてくれてたなぁ。夜遅いけど、そーゆーもんなんだって思ってたから、全然気が付かなかった……。
「私はうまくいくと思ってたよ。千優希とケンボーって、なんか二人でいるのが当たり前みたいな、夫婦みたいな感じするもん。」
夫婦って…。
こっちはあんなにドキドキしながら、毎回会ってたのに。早く言ってよぉ。
「こいつ、ぜんぜん気のある素振りみせないんだもん。オレだってダメかと思ってたよ。」
ケンボーってばむくれてる。
それはこっちの台詞だぁ。
メールしたって、必要事項しか返事が来ない。いっつも私を子供扱いして、ケンボーはいつでも余裕って感じで…。
「私が一生懸命考えてメールしたって、ひとことふたことしか返ってこないし、ぜーんぜん興味なさげだったくせにぃ〜…。」
ダメだ…。自分で言ってて思い出して泣けてきちゃう。
もしかして実はこっそり同じ会社に彼女がいるんじゃないのかとか、ずっとずっと猜疑心の塊になってた。
なんでもない電話一本で元気になって、会えないだけでめちゃめちゃヘコんだ。
もう、そんな心配しなくていいの?
抱き締められてるケンボーの腕を確かめるように触れてみる。
おそるおそる触った指を、ケンボーの大きな手が優しく包んでくれた。
もう一人で不安にならなくてもいいんだね。
「俺、出張行きたくない。」
私をすっぽり抱き締めてるケンボーの腕が一段と力を増してる。
「おい、酔っ払ったのか?藤木がバカなこと言い始めたぞ?」
安部ちゃんが呆れてケンボーから生中のジョッキを取り上げる。
「俺、来週から一週間ロスに出張なんだよ〜。心配で千優希おいてなんていけない。」
………こいつ、酔っ払ってます。