to Heart〜I LOVE YOU-5
―――涙が止まらない―――。
ケンボーが強く抱き締めてくれた。その腕の力強さが、夢じゃないってことを教えてくれた。
「千優希。」
顔を上げてケンボーを見ると、唇にとびきり甘いキスが降ってきた。
――ずっとずっと待ち焦がれた、愛する人のキス――
「…ずっと…好きだったんだからぁ……。そーならそうと、早く言ってよぉ。」
涙顔で訴える私を見て、ケンボーがこれ以上ないくらいの笑顔で笑った。
「悪かった。」
抱き締められた腕に、私の居場所を見つけた。
やっと辿り着いた―――私の居場所―――。
桜吹雪の下で見つけた恋の種が、大輪の花火の下で花開いた―――。
やっと咲いた、恋の花。
「やぁ〜っと言ったか〜!」
「めでたい!めでたい!」
安部ちゃんたちが、お祝いしてくれたのはいいんだけど……。
私以外はみんな知っていたらしい…、ケンボーが私を好きなこと。
亜由美まで、知ってて私に内緒にしてたなんてぇ!
知らなかったのは、私一人ってこと〜!?
「だって、俺が千優希ちゃんの隣とか座ると、藤木のヤツにらむんだぜぇ。バレバレだっつーの!」
「あんたは昔からにぶいよね〜。こーゆーこと!」
亜由美があきれ顔で私の頭を撫でながら言う。
「そこが千優希のいいトコなんだよ!」
ケンボーが亜由美から私を奪回しながら、反論する。
「もぅ、恥ずかしいってばっ!」
ケンボーの腕を擦り抜けようとするけど、ガッチリ捕まっちゃって、すっぽり腕の中におさまっちゃってる。
顔が赤くなってるのが、自分でもわかる。
「北川はまったくわかんなかったけどな。てっきり藤木の片思いかと思ってたぜ。」
安部ちゃんが笑いながら、ビールを飲み干す。
「おいおい、それなのに俺に告白すすめてたのか?オニだな!」
私が泣きながら帰った日、あの後ケンボーは3人から、めためたに怒られたらしい。
すっかりヘコまされたケンボーは、告白することを決意したんだって。
「……だって、バレて敬遠されちゃったらヤでしょ?」
それが一番恐かったんだもん。
「…かっわいいなぁ〜!北川はっ。」
安部ちゃんが、頭をなでなですると、またまたケンボーが奪回する。
「も〜っ!ケンボー!」
告白する前は、ベタベタするの嫌だとか言ってなかったっけ?
どうだろ?この変わりよう………。