to Heart〜I LOVE YOU-4
「着いたぞ!」
車を停めたところは、海岸線の静かな岬。数キロ先に反対側の岬の港が見える。
外に出ると潮の香りが髪をかすめていく。
「ここ、どこ?」
聞き終わるか、終わらないかのその瞬間―――。
ドンッ!パラパラパラ……。
反対側の岬の上空に、大輪の花が咲き乱れた。
「出張先の人が、今日花火大会があるって教えてくれたんだ。見やすい穴場も一緒にな。」
目の前に広がる、色とりどりの大輪の花火に、見とれて立ちすくんでしまった。
「………綺麗ぇ………。」
ヘコんでた気持ちが、花火に吹き飛ばされたみたい。
「ケンボー、ありがと。私、総務の仕事がんばってみるっ!花火見たら、元気出ちゃった。」
「……単純。」
ケンボーが呆れたよーにポンッと頭を撫でた。
フワッ――――
いつもなら離れていく、その腕が、今日はそのまま後ろから抱き締められた……。
「……千優希、好きだ。」
頭が混乱して、ショートしてしまったみたい。
―――動けない。
―――話せない。
「………嘘?」
やっと出た言葉と同時に、ケンボーの腕に幾粒もの涙が流れ落ちてた。
言葉に驚いたのか、涙に驚いたのか、ケンボーが私を振り向かせる。
「嘘じゃない。……千優希が好きだ。お前が俺のこと、親友としか見てなくても…。」
遠くで花火の音が聞こえる―――。
花火が見せてる幻じゃないよね?
「親友としか見てなかったのは、ケンボーじゃない……。」
溢れる涙で、ケンボーがよく見えない。ちゃんと確認したいのに、目の前がかすんでくる…。
確かめるように、ケンボーに抱きついた。