投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

嘘つきな I LOVE YOU
【理想の恋愛 恋愛小説】

嘘つきな I LOVE YOUの最初へ 嘘つきな I LOVE YOU 10 嘘つきな I LOVE YOU 12 嘘つきな I LOVE YOUの最後へ

to Heart〜I LOVE YOU-2

「おまえ、総務の仕事を心のどこかでバカにしてんだよ。誰がやっても一緒なやりがいのない仕事って決め付けてんだよ。何度も話が来るってことは、おまえじゃなきゃダメな仕事があるんだよ!バカにすんな!甘ったれるな!」

……言い返えせなかった……。
ケンボーの言う通りだった。自分の個性が生かせず、レベルが低いとこに落とされたような気がしてたんだ……きっと心のどこかで。

「やりたい仕事があっても、できないヤツだって世の中たくさんいるんだよっ!総務の仕事をやってもいないくせに、見下すな!」


ケンボーが、ハッ!っとした顔をした。
私の瞳から大粒の涙がこぼれてたからだろう。


「……ごめっ。帰る……」
止まらない涙を必死で押さえながら、店を飛び出した。
「待って!千優希!」
亜由美が急いで追い掛けてきた。
「ごめん……一人で考えながら帰る。」
心配そうな亜由美を背に、私は一人小走りに駅へ向かう。


―――恥ずかしかった。
―――情けなかった。
ケンボーの言う通り。私は総務の仕事を見下してたんだ。
やってもいないうちから、勝手に決め付けて――。


ケンボーの怒った顔が浮かぶ……。


きっと嫌われたに違いない。軽蔑したよーな顔してた……。
今度は別な涙が溢れてきた。


今度ケンボーに会う時、どんな顔して会えばいいんだろう……?
今までケンボーがあんなに怒ったことなんてなかった……。

「……嫌われちゃったぁ……。」

ネオンが滲んで、前がよく見えない。
ケンボーに嫌われちゃったら、私はどうやって生きていけばいいんだろう……?



翌日――PM5:30
重たい気分の長い一日が終わり、重たい腰をあげ、更衣室へ行く。翌日になっても腫れたままの目。
異動の件で、同じ部署の先輩や後輩たちが、部長に必死に取り下げをお願いしてくれたけど、取り下げにはならなかったらしい。それはしかたないことだろう。
気を抜くと涙腺がゆるむのは、ケンボーの昨日の顔が忘れられないから……。
……すっごく怒ってたなぁ……。

♪♪♪♪ ♪♪♪♪

更衣室を出て玄関先まで来たところで、着信音が鳴る。

ディスプレイには【藤木 健太郎】の文字。

―――どうしよう!?出るのが恐い……。

震える指先で、なんとか通話ボタンを押す。


嘘つきな I LOVE YOUの最初へ 嘘つきな I LOVE YOU 10 嘘つきな I LOVE YOU 12 嘘つきな I LOVE YOUの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前