やっぱすっきゃねん!VN-14
達也は、バッターの位置をチェックしてサインを出す──外角低目のストレート。
佳代は頷いて、セットに構えた。
(軸足とリリースだ…)
右足が上がった。宙を蹴って、軸足に十分な体重をかける。
スムーズな下半身の動きと共に、右スパイクの爪先が窪みを掴む。
佳代の目が正面を捉えた。ヒジが後ろから前へと伸びてくる。
(ここっ!)
ボールから親指が離れ、人差し指と中指がボールがかかる。 その瞬間、静止していたボールに、凄まじいバック・スピンが加わった。
不安の中、第1球目が投じられた。
「やっぱすっきゃねん!」VN完