透の場合-2
目の前に彼女がいる…!
彼女と、密着している…!
それだけで透は目眩を起こしそうだった。
いつものように髪をアップにしている彼女。
うなじに後れ毛がかかってたまらなくセクシーだ。
シャンプーの香りが透の鼻をくすぐる。
…やばい、気をつけないと。
変な気を起こして痴漢と間違われても困る。
平常心を保とうとして彼女から目を逸らした。
ガタン!
電車が揺れて、彼女が透に倒れかかる。
…危ない!
どうにか抱き留めて彼女を倒れさせずにすんだが…。
…神様!
なんと彼女の両足の間に透の膝が入り込んでしまった。
どかしたくても身動きがとれない。
「す、すみません!」
今度は透が謝る。
「…いえ」
彼女が小さな声で答える。
見ると、真っ赤になっていた。
…か、かわいい!
抱きしめたい衝動をぐっと堪える。
しかし、この状況…。
ラッキーなんだか地獄なんだか。
透の膝には彼女の柔らかい太ももの感触が伝わる。
振動で彼女の太ももと透の膝がこすれる。
ああ…。
いつまで我慢出来るだろう。
そんなことを考えていたら…。
「…っ…ふぅっ…」
彼女が息を漏らす。
小刻みに震えて、顔が真っ赤だ。
具合でも悪いのか?
心配になって顔を見ると、彼女も透の方を見て目が合う。
…目が潤んでいて、かなり色っぽい。
「…んっ…」
彼女が息を漏らす。
これは、もしかして…。
透は膝を動かしてみた。
「…ぁぁんっ…」
まさか、感じてる!?
透も我慢の限界だった。
ぷつんと、何かが切れた音がした。
白くて細いうなじにふうっと息を吹き掛ける。