嘘みたいな I LOVE YOU-3
――――帰り道。芹香ちゃんは俺に気をきかせてくれたんだろう。寄るところがあるからって店の近くで別れた。
「ケンボー、公園通って近道して帰ろっ♪」
千優希が無邪気に手招きする。
帰り道にある小さな公園。高校の頃はよくここで、夜中まで話してたっけ。
「昔はここでよくみんなと花火したよね〜。またみんなでやろっか?」
ブランコを高くこぎながら、千優希が明るく言う。
近道の予定が、すっかりブランコに乗って遊んでやがる。
あ、そーゆー子供みたいなとこも、いつまでたっても変わらない、こいつのいいところなんだが。
「空見て〜。星キレイだよ。」
言われて見上げた空には、無数の星が光ってた。
「星なんか見たの久しぶりだな…。」
「昔はけっこう流れ星とか見たのになぁ。」
ブランコから飛び降りて、バランスを崩して、千優希が転びそうになる。
「きゃっ!」
急いで千優希の腕を掴んで助けると、申し訳なさげに千優希が振り返った。
「ごめんごめん。ありがと♪」
こいつのドジにももう慣れたが、危なっかしくてしょうがない。
「帰ろっか。」
街頭と月灯りに照らされた千優希の顔が一瞬淋しそうに見えて―――。
「千優希!」
無意識に俺は千優希を呼び止めてた。
「ん?」
不思議そうに千優希が振り返る。
呼び慣れてるはずなのに、名前を呼んで、久しぶりに照れてしまった…。
「……今度やるか。花火。」
千優希の頭を撫でながら、照れ隠しに言う。
「うん♪」
抱き締めたくなるよーな、無邪気な笑顔。こいつの笑顔にはかなわないや…。
俺の悩みなんて、ちっぽけに思えてくる。
金曜日―――PM5:30
PCはまだまだ資料の作り途中………。
今日は千優希たちと7時に集まる約束。
「……やべっ。終わんねぇ…。千優希に電話しとくか……。」
アイツは仕事が忙しいのをわかってくれてるからか、遅れても笑って許してくれるけど、他の奴らはブーブー言うからなぁ…。
『はい。ケンボー、お疲れ☆』
電話越しの千優希の声。……くぅ、癒される…。疲れてんだなぁ、俺。
「おう、今日7時からだっけ?」
『そだよ。』
「わりぃ。ちょっと遅れる。」
『はいはい。仕事ね。みんなに言っとくわ。』
「8時ぐらいには行けると思うから。」
『わかった。がんばってね。』
これで安心。おっし!がんばるぞ!
猛スピードで資料完成!間違いがないか見直して―――やばいっ!もう7:30だ。急いで片付けて、会社を後にする。